事業収支予測を明らかにしたメガソーラー、和歌山に20MW自然エネルギー

大和ハウスグループ3社は関西国際空港の土砂採取跡地に出力20MWのメガソーラーを立ち上げ、2016年4月から発電を開始する。初期投資額と合わせて、維持管理費を明らかにし、事業モデルを明確にしたメガソーラーである。

» 2013年10月16日 10時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 和歌山市と太陽光発電所(赤)の位置。関西国際空港(青)の位置も示した。

 大和ハウスグループ3社は、2013年10月、建設、運営、維持管理をグループ内で分担することにより、和歌山県に出力20MWのメガソーラー「DREAM Solar 和歌山加太」(和歌山市深山)を立ち上げることを発表した(図1)。同社グループの手掛けるメガソーラーとして最大の規模であるという。

 メガソーラーを立ち上げるまでの初期投資額は約60億円、完成後の維持管理費(ランニングコスト)は20年間で約55億円だ。ランニングコストの内容は、和歌山市への地代支払い*1)の他、設備修繕費、施設点検・維持管理費、20年後の解体費である。

*1) 和歌山市が公募を募集した際、最低賃料を1m2当たり、年額135円としていた。賃料は35.8ha全てに掛かるため、年額にして約4800万円となる。地代の支払いは建設期間中も含むため、22年間に及ぶ。

 固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を関西電力に20年間売電する。想定年間発電量は約2110万kWh、売電収入は年間約7億6000万円を見込む。

グループ内で事業を完結

 メガソーラー事業に関する大和ハウスグループ3社の分担を図2に示した。発電事業者は大和リースである。和歌山市から土地を借り受け、20年間、売電事業に取り組む。大和ハウス工業はメガソーラーの設計・調達・建設(EPC)を担当する。ダイワサービスは完成後の管理・運営(O&M)だ。

図2 メガソーラー事業の枠組み。出典:大和ハウス工業

 事業の発端は、和歌山市が関西国際空港の土砂採取事業跡地(35.8ha)にメガソーラーを誘致することを目的として、公募型プロポーザル方式で2012年8月に事業者を募集したことだ。跡地は今後、和歌山市が平たんになるよう造成し、22年間貸し付ける形だ。

 2013年10月、大和リースが和歌山市と事業協定書を締結。和歌山市の造成を待って2014年6月に着工、借り受けた土地のうち、25.3haに太陽電池モジュールなどを設置して2016年3月末に完成させ、2016年4月から売電を開始するというスケジュールを予定している(図3)。

図3 DREAM Solar 和歌山加太の完成予想図。出典:大和ハウス工業

 市との契約により、売電金額の3%を市内の公園や緑地の整備、LED街路灯の設置など地球温暖化対策に用いる。この他、太陽電池モジュール2枚(合計出力520W)とリチウムイオン蓄電池を組み合わせた電源装置「ソーラーストレージ」を10台、市に寄贈する(図4)。可搬型太陽光発電装置として使えるため、停電時のバックアップ電源として利用できる。BCP対策にも役立つ。

図4 ソーラーストレージの外観。出典:大和ハウス工業

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