現時点で国内最大のメガソーラーは大分県で2013年5月に運転を開始した「NISSAN Green Energy Farm in Oita」の26.5MW(メガワット)である。11月1日から稼働する「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」の発電規模は70MWで、これを大幅に上回って日本一のメガソーラーになる(図1)。
年間の発電量は7900万kWhに達して、一般家庭で2万2000世帯分の電力使用量に相当する規模がある。発電した電力は全量を九州電力に売電する予定で、年間の収入は30億円を超える見込みだ。収益性の観点でも今後の大規模なメガソーラー事業の先行指標になる。
建設費を含めて総事業費は270億円にのぼる。京セラなど7社が43億円を出資したほか、残りの資金は発電事業の収益をもとに「プロジェクトファイナンス」で調達する新しい手法をとった。事業を運営するのは共同出資会社の「鹿児島メガソーラー発電」である。
建設した場所は鹿児島湾に面した埋立地で、東京ドーム27個分に相当する127万平方メートルの広さがある(図2)。メガソーラーの出資企業のひとつIHIが工場の跡地を保有したまま、利用目的を見つけられずに残していた土地だ。IHIはメガソーラー事業に参画しながら、今後20年間にわたって土地の賃貸料を得ることができる。
このメガソーラーを追う形で、2015年には愛知県で81MW、青森県で115MWのメガソーラーが相次いで運転を開始する予定だ。さらに2018年には岡山県の瀬戸内海に面した塩田跡地に230MWのメガソーラーが誕生する。全国には臨海地域を中心に広大な土地が数多く残っていることから、鹿児島七ツ島の成果によって大規模なメガソーラーの開発プロジェクトが各地へ広がっていく可能性は大きい。
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