BEMSの補助金制度が終了、目標を大幅に下回り7000件に満たずエネルギー管理

中小規模のビルを対象にエネルギー管理体制を整備する目的で始まったBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金制度が10月末で終了した。予定の実施期間を4カ月も前倒ししたとはいえ、申請件数は1年6カ月の累計で6728件にとどまり、目標の1万件を大幅に下回る結果になった。

» 2013年11月07日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 総額300億円の国家予算で大々的にスタートしたBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)とHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の補助金制度が10月末で受付を終了した(HEMSは9月末で終了)。結局は予算の約3分の1を国庫に返還して、補助金の件数は当初の目標に対して3分の1も少なかった。

 補助金の運営を担当する「環境共創イニシアチブ(SII)」がBEMSの申請件数だけを週次で公表してきた。受付終了直後の11月1日現在の申請件数は6728件で、経済産業省が制度開始時に掲げた1万件の目標に大きく届かなかった(図1)。しかも補助金を使ってBEMSの導入を推進するアグリゲータ各社が設定した目標値の合計(6万3684件)に対しては、1割強という極めて低い達成率で終わってしまった。

図1 アグリゲータ別に見たBEMS補助金の申請事業所数(2013年11月1日現在)と各社の目標値。補助金を運営する「環境共創イニシアチブ」による集計

 この制度の問題点については何度か指摘してきたが、特に運営を円滑に実施できなかったことが大きな障害になったことは間違いない。一例を挙げると、おそらく最終結果になる11月1日時点の申請件数が、約1カ月前の9月27日時点の公表値7320件から600件近く減っている。

 アグリゲータ別に数値を比較すると、日立製作所の申請件数が1273件から378件へ減少したことがわかる。理由は不明だが、アグリゲータと運営側で認識に違いがあって、900件もの大量の申請が認められなかった可能性が大きい。通常ではありえない事態が生じたと考えられる。

 一方で経済産業省は2014年度から制度を改めて、BEMSを含む省エネ設備を導入する企業を対象に700億円の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」を開始する計画だ。もはや同様の失敗は許されず、運営面の体制を抜本的に見直す必要がある。

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