経済産業省が2013年度に130億円の予算で実施するMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)の補助金制度の概要が決まった。補助金の対象になるアグリゲータとシステムを4月中に発表して適用を開始する。マンション1棟あたりの補助金は平均1600万円程度を見込む。
MEMS(マンション向けエネルギー管理システム)の補助金制度を運営するのは、ビル向けのBEMSや家庭向けのHEMSと同様に「環境共創イニシアチブ(略称SII)」である。制度の枠組みもBEMSと同じで、システム提供会社を「アグリゲータ」として認定し、アグリゲータを通じて補助金を支給する形になる。
SIIは3月4日からアグリゲータの募集を開始して、4月下旬までに認定対象のアグリゲータとシステムを発表する予定だ。アグリゲータの数は10〜20程度を見込んでいるが、BEMSと同様に複数の企業がコンソーシアムを組んでアグリゲータになることが想定される。
経済産業省は2013年度に130億円の予算をかけて、800棟(合計8万戸)のマンションにMEMSを導入する方針を掲げている。1棟あたり平均1600万円程度の補助金になる。MEMSの設備費と工事費に対して3分の1までを支給することから、1棟あたりの導入費用は平均で5000万円程度になる見積もりだ。MEMSを導入することによって、マンション全体の電力使用量を10%以上削減することを目標にする。
現在のところ補助金の対象になる機器の範囲は、「エネルギー管理支援サービスの実施のために必要不可欠な設備で、共用設備として管理されるもの」とだけ示されている。各住戸の電力使用量を時間帯ごとに測定するメーターのほか、共用部分を含めてマンション全体の電力使用量を集約する管理システムが含まれることは確実である(図1)。
ただし電力使用量を計測するだけで10%以上の削減は難しく、ほかの機器も対象になる可能性が大きい。例えば太陽光発電システムと蓄電池やEV充電器を組み合わせて使えば、電力使用量の削減に効果がある。
さらに電気料金を引き下げるために、このところマンションで導入が増えている「高圧一括受電」のための設備を補助金の対象として認めるかどうかも注目される。通常のマンションは各戸ごとに電力会社と契約を結んでいるが、マンション全体で単価の安い高圧の契約に切り替えると電気料金が1割以上も安くなると言われている。高圧一括受電には受変電設備が必要になり、設備費と工事費が高額になる。
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