福島沖の洋上風力が運転開始、浮体式の発電・変電設備から2MWの電力を供給自然エネルギー

世界最大級の浮体式による洋上風力発電設備が11月11日に福島沖で運転を開始した。沖合18キロメートルの洋上で直径80メートルの大型風車が回転して、1基で最大2MW(メガワット)の発電が可能になった。隣接して浮かぶ変電設備を経由して福島県内まで海底ケーブルで送電する。

» 2013年11月12日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 10月10日に送電ケーブルの敷設が完了してから1カ月間の調整作業を終えて、いよいよ注目の洋上風力発電設備が福島沖で運転を開始した。直径80メートルの大型風車を備えた「ふくしま未来」が最大2MW(メガワット)の電力を洋上から供給する。

 浮体構造の基礎部分には日本の洋上風力では初めて「セミサブ」と呼ぶ半潜水方式を採用した。海面からの高さは106メートルに達する一方、基礎部分が水中に16メートル潜って全体を浮かせる構造になっている(図1)。

図1 発電設備の「ふくしま未来」。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 同時に変電設備の「ふくしま絆」も2キロメートル離れた海域で運転を開始した。ふくしま未来が発電した電力を66kVの高圧に変換してから、海底ケーブルで福島県内に送電する役割を担う。

 変電設備に加えて風速などを測定する計測装置やヘリポートも備えている(図2)。海面からの高さは発電設備よりも低い60メートルだが、基礎部分は円筒型の構造で水中に50メートルも潜る。

図2 変電設備の「ふくしま絆」。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 この浮体式による発電設備と変電設備を組み合わせて、11月11日から運転状態の実証試験が始まった。風の強さや潮流の速さなどの気象・海象データをもとに、発電・変電設備の運転データを分析して、洋上における安全性・信頼性・経済性を評価する。さらに商用化に向けて不可欠な運転維持管理手法を確立することも重要な目的になる。

 続いて2014年度には第2期の計画として、隣接する海域に2種類の超大型設備を建設して規模を拡大する予定だ(図3)。いずれも7MWの発電能力があり、同じ変電設備を通して福島県内に電力を供給する。

 2種類の発電設備のうち、三菱重工業が担当するセミサブ方式には新たに「ふくしま新風」の名称が付けられた(もう1種類の名称は未定)。第2期の建設工事は2014年7月にも開始できる見込みである。

図3 第1期と第2期で建設する設備の概要。出典:福島洋上風力コンソーシアム

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