直径80メートルの大型風車が海に浮かぶ、いよいよ福島沖で試運転へ世界に先駆ける洋上プロジェクト(1)(1/2 ページ)

福島県の沖合18キロメートルの洋上で進められてきた風力発電所の設置作業がまもなく完了して、10月中に試運転に入る予定だ。世界でも有数の浮体式による大型風力発電設備の実用化に向けて、5年間の実証プロジェクトの後半が始まる。合わせて変電設備も浮体式で洋上に建設する。

» 2013年09月25日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 着々と準備が進む「浮体式」の洋上風力発電所だが、その規模を考えると、実際に海に浮かべても大丈夫なのか、心配になってくるほどの大きさである(図1)。羽根の部分の直径は80メートルあり、最高到達点は海面から100メートルを超える。地上30階建てのビルに匹敵する高さだ。

図1 福島沖に設置する浮体式の洋上風力発電設備。出典:福島洋上風力コンソーシアム

2000トンを超える設備が海上で揺れる

 大きさだけならば陸上にある洋上風力発電所と変わらない。総重量が2000トンを超える設備全体が海に浮かんで揺れながら発電するところが大きな違いである。4本の太い円筒形の柱を組み合わせた基礎部分の下半分が海中に沈んで、波の揺れや潮の流れを吸収する構造になっている(図2)。

図2 発電設備の構造。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 発電能力は2MW(メガワット)ある。一般家庭で1000世帯以上の電力を供給することができる。陸地から遠く離れた浮体式では世界でも有数の発電規模だ。沖合にあって近くを船舶が航行するために、基礎部分の甲板には航路標識や霧笛(音波標識)まで付いている。まさに海洋施設である。

 発電設備のほかに、陸地に電力を送るための変電設備も同様に浮体式で建設する。この変電設備には各種の観測機器を装備して、風向や風速などの気象、波浪などの海象、さらに浮体設備の揺れをジャイロなどを使って計測することが可能になっている。

 続いて2014年には、7MWの超大型の風車を2基稼働させる計画だ(図3)。羽根の直径は167メートルにもなり、高さは海面から200メートル近くに達する。合計16MWの浮体式による洋上風力発電設備は世界でも類を見ない。完成すれば日本が実用化に向けて世界をリードすることができる。

図3 実証プロジェクトのスケジュールと設備。出典:福島洋上風力コンソーシアム
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