水道を生かす宮城県、おいしい水で発電も自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年02月03日 15時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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水道特有の条件とは?

 残る2つの条件は水道特有のものだ。「企業局が管理する広域水道は、市町村へのいわば『卸し売り』のような立場にある。小水力発電を導入すると水道の圧力が下がるため、市町村の受水タンクに入らなくなる可能性がある。これは避けなければならない」(水道経営管理室)。

 このため、調整池の流入側に小水力発電機を取り付けることになった。流入側で圧力が下がったとしても、下流の水道の圧力は調整池の水位で決まるため、影響を受けない(図3)。馬越石水力発電所の場合は、仙南・仙塩広域水道 高区調整池を利用した。

図3 浄水場と流入流量計室、高区調整池の位置関係 出典:宮城県水道局

 3つ目の条件は工事の進行に関係する。小水力発電の工事のために水道の送水を停止することはできない。「馬越石水力発電所を設置する位置には、水道管本管の他にもともと修繕・点検用の管があったため、工事が可能となった」(水道経営管理室)。複数の管が並んでいる様子は図1の右側で見て取ることができる。

 なお、仙南・仙塩広域水道は、阿武隈川水系の白石川七ヶ宿ダム(宮城県七ヶ宿町)で取水し、南部山浄水場(宮城円白石市)を経由する。その一部が高区調整池に至る形だ(図4)。

図4 仙南・仙塩広域水道の全体像。左下から右上に向かって流れる 出典:宮城県水道局
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