福島沖の超大型洋上風力が10月にも運転、送電ケーブルを8月中に敷設完了自然エネルギー

浮体式で7MW(メガワット)の発電能力がある超大型の洋上風力が10月にも運転を開始する見通しだ。発電設備を洋上に係留するためのアンカーチェーンや送電用の海底ケーブルの敷設工事が8月中に完了する。いよいよ世界に先駆けた洋上風力発電所が全面的に動き出す。

» 2014年05月14日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 福島第一原子力発電所から沖合20キロメートルほどの海域に、洋上に浮かぶ風力発電設備が2013年11月から稼働している。羽根の長さは40メートルあるが、さらに2倍の80メートルもある超大型の風車を新たに2基並べて設置する計画だ(図1)。6月4日から海上工事を開始するために、陸上の拠点になる小名浜港で5月19日から準備作業が始まる。

図1 洋上風力発電所の位置(青色の設備は第1期で設置済み)。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 福島沖で実施する洋上風力発電の実証研究は第1期と第2期に分かれていて、第1期では2MW(メガワット)の大型発電設備と変電設備を稼働させた。続く第2期は7MWの超大型発電設備2基を同じ海域に浮体式で設置して、第1期の設備と合わせて2015年度末まで実証研究を続ける計画だ。

 風車を含めて発電設備は陸上で組み立ててから運搬船で海上を輸送するが(図2)、それと並行して洋上に発電設備を係留するためのアンカーチェーンを現地の海底に固定して、さらに変電設備へ電力を送るための送電ケーブルを敷設する必要がある。一連の工事を8月末までに完了する予定で、その後に発電設備と変電設備をつないだ調整作業を実施してから運転を開始する。

図2 洋上風力発電設備の輸送(第1期で設置した発電設備)。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 第1期では送電ケーブルの敷設が完了してから約1カ月後に発電設備の運転を開始した。第2期は設備の規模が大きくなるために長めの調整期間を必要とする可能性もあるが、順調に進めば10月中に運転を開始できる見通しだ。

 新たに設置する2基の超大型発電設備は第1期の発電設備をはさむ形で、ほぼ等間隔に並ぶ(図3)。発電した電力は約2キロメートルの洋上にある変電設備まで海底ケーブルで送り、そこから20キロメートル離れた陸上まで再び海底ケーブルで送電する。

図3 発電・変電設備の位置と海底送電ケーブルの敷設。中央の青色部分は第1期で設置した変電設備(左)と発電設備(右)。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 超大型の2基が運転を開始すると、世界でも類を見ない16MWの大規模な発電所が洋上に浮かんで電力を作り出す。洋上風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は30%程度になることから、年間の発電量は約4200万kWhに達する見込みだ。一般家庭で1万世帯分を超える電力を供給することができる。

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