太陽の熱で空調と給湯のエネルギーを半減へ、全国11地域に実証住宅スマートホーム

NEDOを中心に推進する太陽熱を活用した省エネ住宅の技術開発が実証フェーズに入る。これまでに開発した断熱材・蓄熱建材と太陽熱による空調・給湯システムを組み合わせて、全国11地域に実証住宅を建設して効果を測定する。目標は空調と給湯のエネルギー消費量を半減させることだ。

» 2014年06月17日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 太陽熱エネルギーを活用した実証住宅のイメージ。出典:NEDO

 太陽からのエネルギーには光と熱の2種類があるが、このうち太陽熱の活用はさほど進んでいない。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2011〜2015年度の5カ年計画で「太陽熱エネルギー活用型住宅の技術開発」を推進中だ。前半の3年間で断熱材や蓄熱建材、さらに太陽熱による空調・給湯システムの開発を進めたうえで、後半の2014〜2015年度に実際の住宅で効果を検証する予定になっている(図1)。

 その実証住宅の建設地を全国11カ所に決定した。日本全体は8つの気候区分に分かれるため、北海道から沖縄まで各気候区分から場所を選んだ(図2)。それぞれ建設事業者が実証住宅を建てて、2014年12月からデータの測定を開始する。11カ所のうち6カ所は工務店の連合体であるFHアライアンスのメンバー6社が、残り5カ所は住宅用の太陽熱システムを開発するOMソーラーを中心にした6社が実証研究を担当する予定だ。

図2 実証予定地域と住宅建設事業者。出典:NEDO

 実証住宅にはNEDOが選定した高性能な断熱材と高機能な蓄熱建材を利用することになっている。さらに太陽熱による空調・給湯の仕組みは、5年間のプロジェクトの前半でOMソーラーが開発したシステムなどが候補になる。すでにOMソーラーは静岡県の浜松市に建設した実験棟を使って、冬の空調エネルギーを70%削減できることを実証した(図3)。

図3 太陽熱エネルギー活用住宅の構成例(左)と実験棟(右)。画像をクリックすると拡大。出典:NEDO、OMソーラー

 新たに全国11カ所に建設する実証住宅では、断熱材・蓄熱建材・太陽熱活用システムを組み込んだモデルプランをベースに、各地域の気象条件を考慮したシミュレーションを通じて設計変更を加える。12月からは要素技術ごとの省エネ効果と住宅全体の省エネ効果を測定して、気候区分に応じた実用性と経済性を評価する計画である。

図4 一般的な住宅におけるエネルギー消費の割合(2011年度)。出典:NEDO

 一般的な住宅では、年間のエネルギー消費量のうち57%を空調と給湯が占める(図4)。実証住宅を通じて空調と給湯のエネルギー消費量が半減することを確認して、太陽熱を活用した住宅が全国各地で省エネ効果を発揮することを示すのがプロジェクトの狙いだ。

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