輸入品に変わった日本の太陽電池、住宅用が振るわない自然エネルギー(1/2 ページ)

日本の太陽電池産業が大きく変わろうとしている。数量の伸びは著しいものの、海外生産品の比率が高まる一方だ。長らく大半の需要を支えてきた住宅用の比率は今や25%を切り、発電事業用と産業用の比率が高まっている。太陽光発電協会(JPEA)が発表した国内メーカーを対象とした太陽電池モジュールの統計を紹介する。

» 2014年06月19日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 太陽光発電協会(JPEA)は2014年6月、国内47社*1)を対象とした太陽電池セルと同モジュールの出荷量(いずれもkWベース)を発表した。対象期間は2013年度第4四半期(2014年1月〜3月)である。2013年度全体の数字も合わせて発表した(本文末の図4を参照)。以下では太陽電池モジュールの出荷量についてのみ触れる。

 太陽電池モジュールの総出荷量は278万6095kW(約2.8GW)であり、これは前年同四半期の1.52倍に相当する(図1)。成長は年度を通じた傾向だ。2013年度を合計した862万5377kW(約8.6GW)という数字は、2012年度の2.05倍に達する。

図1 太陽電池モジュールの出荷量(2012〜2013年度、kW) 出典:太陽光発電協会の公表値に基づいて作図

国内市場の成長に輸入で対応

 このような成長は、海外市場とは無関係だ。国内市場の拡大のみに依存している。2012年度の総出荷量に占める国内出荷量の比率は90.5%、これが2013年度には99.1%に上昇した。2013年度第4四半期の海外出荷量はわずかに1万1576kWであり、総出荷量の0.4%を占めるにすぎない。2010年度には総出荷量に占める海外出荷量が6割を超えていたことを考えると、極端な国内シフトが進んだことが分かる。

 太陽光発電協会の統計では太陽電池の生産地域と仕向先の組み合わせは3通りある。国内で生産し海外に出荷する(輸出)、海外で生産し国内に出荷する(輸入)、国内で生産し国内に出荷する場合だ。

 このうち輸入が大幅に伸びている。2013年度第4四半期を前年度同四半期と比較すると、国内生産の規模が93万3774kWから122万8729kWへと1.31倍になったことに対し、海外生産は1.93倍に達した。通年度では1.58倍と3.34倍であり、さらに差が拡大する。

 同じ数字を生産比率で見ると、国内出荷量に占める海外生産は、2013年度第4四半期では55.7%、通年度では56.3%だ(図2)。過半数である。2012年度の海外生産の比率は通年度で37.9%だった。2012年第1四半期の26.9%から同第4四半期の46.1%まで急速に比率が高まっており、2013年度の結果は、2012年度の数字の帰結ともいえる。

図2 太陽電池モジュールの出荷量に占める海外生産の割合(2012〜2013年度、kW) 出典:太陽光発電協会の公表値に基づいて作図
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.