太陽熱で300Lの湯、集熱パネルと貯湯槽の組み合わせ自然エネルギー(1/2 ページ)

矢崎エナジーシステムは2014年9月から太陽熱を使って湯を作り出す装置「新エコソーラーIIシステム」の販売を開始した。基本的な構成は、戸建住宅の屋根に集熱パネルを配置し、地上に置いた貯湯ユニットに湯を貯めるというもの。冬季でも40度以上の湯を作り出すことができる。

» 2014年10月15日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 矢崎エナジーシステムは2014年9月から太陽熱を使って湯を作り出す装置「新エコソーラーIIシステム」の販売を開始した(図1)。基本的な構成は、戸建住宅の屋根に集熱パネルを配置し、地上に置いた貯湯ユニットに湯を貯めるというもの。発電ではなく、湯の製造に特化した装置、いわゆるソーラーシステムだ。

 ソーラーシステムが他の装置と比べて優位にあるという根拠はこうだ。一般家庭で利用するエネルギーの50%以上は熱であること*1)、熱を生み出すために電力を利用するよりも、熱を熱のまま使った方がエネルギー効率は高いこと*2)、太陽熱は比較的利用しやすく、高効率化が可能であることだ。

*1) エネルギー白書2013年によれば、住宅のエネルギー消費の28%が給湯用、27%が暖房用である。
*2) 東京都環境局は「熱は熱で。」というキャッチフレーズのもと、太陽熱利用システムの住宅向けの普及を促進している(関連記事)。

図1 主な構成部品である集熱パネル(1m×2m)と貯湯ユニット(300Lの場合、717mm×593mm×1796mm) 出典:矢崎エナジーシステム

年間8万円以上の費用を節減可能

 新製品は集熱パネルの面積(枚数)と貯湯ユニットのタンク容量の組み合わせによって、4種類に分かれる(図2)*3)。枚数が増えると太陽から得られる熱量が高まり、タンク容量が増えると利用できる湯の量が増える。

*3) 図2には本体とホースなどの部材、熱媒などの価格が含まれている。これ以外に瓦やスレートに固定するための金具の他、施工費用が必要。

図2 製品は4つに分かれる 出典:矢崎エネジーシステム

 同社の集熱・貯湯システムを導入すると、年間、最大で8万3200円の燃料費を節減できるという(図3)。これは集熱パネル8m2、貯湯ユニット300Lの場合の試算値だ。

 得られる湯の温度はどの程度なのだろうか。同社の試算*4)によれば、製品によって異なるものの、1月は40〜55度、8月は65〜80度だという(図4)。入浴に適した湯が得られるといえるだろう。

*4) 燃料費、湯温とも静岡市で傾斜角30度の南向きの屋根にシステムを設置した場合の試算値。燃料費はLPガス(単価626円/m3)と比較した。

図3 燃料費の節減効果(試算値) 出典:矢崎エナジーシステム
図4 月別の最高到達温度(試算値) 出典:矢崎エナジーシステム
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