太陽電池を直結、8kWhの家庭用蓄電池蓄電・発電機器(1/3 ページ)

慧通信技術工業は、家庭用の独立電源システム「パーソナルエナジー338」を開発した。日本初の家庭用オフグリッド専用モデルをうたう。特徴は大きく2つある。1つは内蔵するリチウムイオン蓄電池の容量が8kWhと大きいこと。もう1つはパワーコンディショナーを利用せずに太陽電池モジュールを直結し、そのまま充電できることだ。

» 2014年11月06日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 慧(けい)通信技術工業は、家庭用の独立電源システム「パーソナルエナジー338」を開発した。WQが2014年12月1日から販売を開始する。

 特徴は大きく2つある。1つは内蔵する蓄電池の容量が8kWhと大きいこと*1)。もう1つはパワーコンディショナーを利用せずに太陽電池モジュールを直結し、そのまま充電できることだ。このため、系統と接続しなくてもある程度利用できる日本初の「家庭用オフグリッド専用モデル」をうたう。電力の自給自足を目指した製品だ。

 図1にシステムの外観を示した。屋内に設置して利用する。重量は約360kg。寸法は600mm×700mm×1600mm。

*1) 太陽光発電協会(JPEA)によれば一般家庭の平均年間消費電力量は5650kWh。1日当たりに換算すると15kWhとなる。沖縄電力は4人家族の標準家庭の使用電力量を300kWh/月としている(1日当たり約10kWh)。

図1 パーソナルエナジー338の外観 出典:慧通信技術工業

製品化の理由は電力会社の対応にあり

 九州電力を初め5つの電力会社が相次いで太陽光発電システムなどで発電した電力の新規買取を保留している(関連記事)。「中でも沖縄電力の対応が厳しい。太陽光発電システムを新規に導入しても系統に接続できなくなっている*2)。そこで、2014年12月にまず沖縄県でシステムの販売を開始する。北海道や全国の離島、さらには系統から独立して電力を使いたいというユーザーにも向くだろう」(慧通信技術工業)。周囲温度が0度以上であれば利用できるという。

 「一般家庭に広く普及を狙う製品ではないため、パーソナルエナジー338の本体価格は600万円程度を想定している。この他、施工費が必要だ」(同社)。

*2) 沖縄電力の制限は全国で唯一、容量10kW未満の家庭用太陽光発電システムにも適用される。同社は2014年9月30日、再生可能エネルギーの接続可能量の上限(310MW)を超えたため、事業者(個人)側に特別な対応がない限り、太陽光発電などの接続申込が不可能になったと発表した。対象は8月8日以降の接続申込。特別な対応には2種類あり、特定期間の発電停止と蓄電池の設置である。

容量以外の特徴にも優れる

 パーソナルエナジー338は一般的な家庭用蓄電池よりも柔軟に利用できるように設計されている。システム出力は6kW(6000W)。特徴的なのは100V出力と200V出力を別々に取り出すことができることだ。100V出力は3kW、200V出力も3kWだ。これはエアコンのように200Vが必要な家電を考えた設計による。

 系統から独立することをうたうため、機器の寿命も長い。10年以上無停止で動作するという。蓄電池の正極には熱安定性が高いオリビン型リン酸鉄リチウムを採用した。蓄電池のサイクル寿命は1万回以上(20年間)という。

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