黒潮が流れるエネルギーの宝庫、海流発電とメタンハイドレートもエネルギー列島2014年版(30)和歌山(1/2 ページ)

和歌山県では太陽光や風力に加えて海洋エネルギーの可能性が広がっている。沿岸地域でメガソーラーの建設計画が増える一方、南側の海域では黒潮を利用した海流発電のプロジェクトが開始間近だ。海底に眠る天然ガスのメタンハイドレートも有望で、県が独自の資源調査に乗り出している。

» 2014年11月11日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 日本の半島で最も大きい紀伊半島の西側を和歌山県が占めていて、特に北部の沿岸地域に太陽光発電と風力発電が集中している(図1)。日射量や風況に恵まれていることに加えて、広大な用地が数多く残っているためだ。

図1 和歌山県の再生可能エネルギー導入状況。出典:和歌山県商工観光労働部

 建設中の発電設備では、関西国際空港用の土砂を採取した跡地に展開する「Dream Solar 和歌山市加太」の規模が大きい。大和ハウスグループが36万平方メートルの土地を和歌山市から賃借して、発電能力20MW(メガワット)のメガソーラーを建設する(図2)。

図2 「Dream Solar 和歌山市加太」の全景。出典:大和ハウス工業ほか

 運転開始は2016年4月の予定で、年間の発電量は2100万kWhを見込んでいる。一般家庭で5800世帯分の電力使用量に相当する。発電した電力は全量を関西電力に売電して年間に7億6000万円の収入を得る見通しだ。このうち3%を和歌山市内の公園・緑地の整備やLED街路灯の設置など、地域の地球温暖化対策に役立てることになっている。

 地域と連携したメガソーラーの開発プロジェクトは、備長炭の生産地で有名な「みなべ町」でも見られる。地元の森林組合が所有する休眠地を活用して、1.1MWのメガソーラーを2014年5月に運転開始した。周囲には備長炭の原料になるウバメガシの森が広がり、メガソーラーと合わせてCO2の削減に取り組んでいく(図3)。

図3 「和歌山みなべ東本庄太陽光発電所」の全景。出典:juwi自然電力

 このほかにも東燃ゼネラル石油が有田市に所有する45万平方メートルに及ぶ遊休地に、関西電力が30MWのメガソーラーを建設中だ。2015年3月までに運転を開始する予定で、稼働すれば和歌山県の再生可能エネルギーの導入量は大幅に増加する(図4)。

図4 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)
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