2つ目の制度変更も発電事業者の売電収入に影響を与える。再生可能エネルギーによる発電設備は状況に応じて電力会社が出力を制御できることになっていて、そのルールが2015年1月中に改正される。
太陽光を中心に再生可能エネルギーの発電設備が増えた結果、地域によっては電力の供給量が需要を上回ってしまう可能性が出てきた。そのような場合には電力会社が発電設備を選んで出力を制御することが認められている。
新しいルールでは、年間を通じて出力が安定している水力・地熱・原子力の3種類から優先的に電力を供給する。その次が太陽光と風力だが、従来と比べて出力制御の対象になる発電設備の規模と時間が大幅に拡大する(図4)。供給順が最後になるのは出力を調整しやすい火力で、バイオマスも含まれる。
ただし地域で発生する未利用木材や廃棄物などを燃料に使う「地域型バイオマス」は、火力の中で最優先に供給することが新ルールで決まった。年間を通じて1日24時間のフル稼働が可能なバイオマスの場合には、太陽光や風力と違って一時的な出力制御の影響は小さい。2015年度の買取価格も従来とほとんど変わらない水準にとどまる見通しで、発電事業者にとっては売電収入を安定的に確保できるメリットがある(図5)。
バイオマス発電は大規模な設備になると運転開始までに2〜3年程度かかる。これまでに固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は120万kWを超えていて、2015年から続々と運転を開始する見込みだ(図6)。新ルールで地域型バイオマスが有利になったことから、未利用木材や廃棄物を利用した発電設備の建設計画が全国各地で増えていく。
バイオマスと同様に小水力発電も2015年の拡大が見込める。資源エネルギー庁が全国の河川を対象に水力発電の可能性を調査したところ、固定価格買取制度の対象になる出力3万kW未満の発電設備を導入できる地点が2000カ所以上にのぼった(図7)。特に3000kW未満の小水力発電の可能性が広がっている。
小水力は1カ所の発電規模が小さいために、設備の導入費用に比べて十分な売電収入を得られない場合がある。従来は1kWhの電力を作るのに20円前後のコストがかかり、発電状況によっては買取価格を上回ってしまう懸念があった(図8)。
固定価格買取制度が始まってから全国の自治体を中心に導入機運が高まり、発電設備のコスト低減が進んできた。買取価格が現在の水準を維持すれば、採算性の問題は解消されていく。小水力発電は再生可能エネルギーの中でも環境に対する影響が小さく、地域の理解を求めやすいことも導入を後押しする。
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