固定価格買取制度が4年目を迎えて、日本の再生可能エネルギーは大きな転換期にさしかかった。急速に拡大した太陽光発電が安定成長に向かう一方で、農山村を中心にバイオマスと小水力発電の導入が活発になっていく。環境影響評価に時間のかかる風力と地熱もようやく動き始める。
いよいよ2015年7月から、固定価格買取制度は4年目に入る。政府の方針で最初の3年間は買取価格を高めに設定して、再生可能エネルギーの導入機運を高めてきた。その効果によって太陽光を利用した発電設備が飛躍的に広がり、電力会社が接続を保留するほどの状態になっている。しかし発電事業者にとって有利な3年間がまもなく終わって、再生可能エネルギーは新たなフェーズに入る。
すでに買取制度の認定を受けた発電設備の規模は原子力を超えて、7200万kWにまで拡大した(図1)。ただし95%以上は太陽光によるもので、天候の影響を受けるために安定した電力源にはならない。これから伸ばす必要がある再生可能エネルギーは安定した電力源になる水力・地熱・バイオマスの3種類だ。特に2015年はバイオマスと小水力発電の広がりが期待できる。
2015年には制度面の大きな改正が2つ予定されている。1つ目は発電設備の買取価格を確定するタイミングが従来よりも遅くなって、電力会社と接続契約を締結した時点で決まる。特に影響を受けるのは太陽光発電の買取価格である(図2)。2015年に入ってから接続を申し込んだ発電設備の価格決定時期は7月以降になり、現在よりも低い4年目の買取価格が適用される見通しだ。
太陽光の買取価格のうち、非住宅用は2012年度の40円(税抜き)から2013年度に36円、2014年度に32円と、年度ごとに4円ずつ下がってきた。同じペースならば2015年度は28円になるが、4年目に入る7月からは26円前後まで引き下げられる可能性が濃厚だ。その結果、固定価格買取制度が始まってから急速に拡大した非住宅用の太陽光発電の導入量は、2015年度から徐々に穏やかな成長ペースに移っていく(図3)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.