同社は調査から分かった3つの点について、より詳細な内容を公開している。まずはどのような住宅がゼロエネルギーを達成できたかということだ(図2)。
調査結果によれば、太陽電池の搭載容量は前回の調査よりもわずかに減っている。全住宅(母集団)の中央値は4.8kW*2)。政府のいうZEHでは4.88kW、ゼロエネルギーを達成できた住宅では5.51kWだった。消費電力量は全住宅の中央値が年間8123kWh、ZEHが7563kWh、ゼロエネルギー住宅が5482kWh。ゼロエネルギーを達成できた住宅は、太陽電池の搭載量が多いだけでなく、電力の消費量自体が少ない。
*2) 住宅用太陽光発電補助金の交付を受けた住宅について、2015年1月に太陽光発電普及拡大センターが統計を発表している。それによれば2014年4月から2015年3月までの期間で補助金の交付を受けたのは13万781件。太陽電池の搭載容量は平均4.56kW。うち、新築(6万9187件)が4.26kW、既築(6万1594件)が4.9kWだった。
調査結果から分かった光熱費の収支を図3に示す。全住宅の売電金額と買電金額を見ると、年間の光熱費収支は1万7127円の黒字だった。従って、ゼロエネルギーを実現できていなかったとしても、経済的なメリットは大きいといえる。ゼロエネルギー住宅の真の強みは売電単価が例え買電単価と同じまで下がったとしても黒字を維持できることだ。固定価格買取制度(FIT)が終了したとしても経済的に成り立つ。
同社の調査では家族構成や家族の人数ごとにゼロエネルギーや政府のZEHを満たした割合も分かる。図4にあるように、夫婦のみの住宅が最もゼロエネルギーを達成しやすく、3世帯住宅では比較的難しいことが分かる。日本は核家族化が進んでいるため、夫婦のみや夫婦+子供の場合が多いだろう。家族人数ごとの割合を示した図4下からも同じ傾向を読み取ることができる。
ゼロエネルギー住宅を達成した割合が最も高かったのは、日射条件に優れる山梨県だった(図5)。本来の意味でのゼロエネルギー、政府のいうZEHのいずれも全国首位である。東北地方や日本海側の県はゼロエネルギーの比率が低い。天候(日射条件)に加えて、暖房費用が負担になっているようだ。
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