住宅73棟すべてゼロ・エネルギーに、太陽光発電と燃料電池に通風・排熱対策もスマートシティ

発電と節電で実質的なエネルギーの使用量をゼロにする取り組みが埼玉県の住宅街で始まった。夏の最高気温が全国でもトップクラスの熊谷市に建設する73棟の分譲住宅を対象に、太陽光発電と燃料電池を全戸に装備する。さらに通風や排熱を促す「クールスポット」を設けて節電に生かす。

» 2014年09月01日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「エムスマートシティ熊谷」の街並み。出典:ミサワホーム

 住宅メーカー大手のミサワホームが開発中の「エムスマートシティ熊谷」で第1弾の10棟が8月27日に完成した(図1)。埼玉県の熊谷市に1万8000平方メートルの敷地で73棟を建設するスマートタウン計画である。全棟を「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の仕様で建設して、街全体の電力使用量を削減する試みだ。

 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスは太陽光発電などで作った電力を相殺することによって、家庭内のエネルギー使用量を実質的にゼロに抑えることができる。エムスマートシティ熊谷では住宅の屋根に太陽光パネルを設置するほか、ガスを使って電力と熱を供給する燃料電池の「エネファーム」を全棟に装備する。さらに各種の「クールスポット」を住宅内に設けて、通風と排熱による自然の力で節電できるようにしている(図2)。

図2 「クールスポット」の設置例。出典:ミサワホーム

 熊谷市は「日本一暑い街」として知られ、夏には最高気温が35度を超える日が多い。そこでエムスマートシティ熊谷には街全体でも通風と排熱に配慮した設計を取り入れた。夏に東の風が吹くことを想定して、街の東側に水場を設けた公園を配置したうえで、公園から放射状に道路を設けた(図3)。

図3 「エムスマートシティ熊谷」の全体イメージ。出典:ミサワホーム

 ゼロ・エネルギーと合わせて「ゼロ災害」を街のコンセプトに掲げて、全棟に導入するエネファームには停電時発電機能を備える。東京ガスがパナソニックと共同開発した製品で、停電時にもエネファームによる発電を継続して電力を供給することができる(図4)。停電時専用のコンセントを通じて、消費電力が700W以下の電気機器を最長で4日間にわたって使うことができる。

図4 「エネファーム」による停電時の電力供給。出典:東京ガス

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