1月の販売電力量が12月から17%も増加、それでも前年比で0.3%減電力供給サービス

電力会社10社が2015年1月に販売した電力量は12月から17%も増えて800億kWhを超えた。全国各地で寒い日が多く、家庭を中心に暖房需要が増加したためだ。ただし前年の1月と比べると0.3%減っていて、特に企業向けの販売量は9カ月連続で前年を下回った。

» 2015年02月20日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 冬の電力需要は12月から1月にかけて大幅に増えるのが毎年の傾向だ。2015年1月も12月と比べて17%の増加で、前年の12月から1月とほぼ同じ伸び率になった。電力会社10社が販売した電力量は802億kWhに達して、特に家庭向けの「電灯」の需要が大幅に増えている。

図1 電力会社10社が2015年1月に販売した電力量と対前年比。出典:電気事業連合会

 前年の1月と比べても電灯は0.9%の増加に転じたが、一方で企業向けは「業務用」と「産業用その他」ともに前年から1%以上も減少した。企業向けの販売量は2014年5月から9カ月連続で前年割れの状態だ。家庭向けと企業向けを合わせた全体の販売量も同様に9カ月続けて前年の実績を下回った。

 電力会社の販売量が減り続ける要因は2つある。1つは電気料金の上昇によって家庭や企業の節電対策がいっそう進んだことだ。中でも震災後に2度の値上げがあった北海道では、地下鉄の車内の暖房を停止するなどの厳しい対策がとられるようになった。

 もう1つは企業や自治体が電力会社から新電力へ契約を切り替えるケースが増えていることである。2016年4月に家庭を含む小売の全面自由化が始まると、電力会社の販売量はさらに落ち込むことが確実だ。

 自由化を機に全国各地で発電事業者と小売事業者が増える結果、家庭だけではなくて企業や自治体のあいだでも脱・電力会社の動きが加速する。抜本的な対策を早急に打たないと、電力会社の経営はますます厳しくなっていく。原子力発電所の再稼働ばかりに固執している状況にはない。

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