カドミウム汚染地域にメガソーラー、28億円の事業費で1900世帯分の電力自然エネルギー

富山県の豪雪地帯にある20万平方メートルの県有地に、発電能力が7.7MWの大規模なメガソーラーを建設した。周辺は古くからカドミウム汚染と戦ってきた地域で、汚染された田んぼを復元するための土を採取した跡地だ。積雪対策では架台を高く設置して、太陽光パネルも30度に傾けた。

» 2015年04月13日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 メガソーラーを建設した場所は富山市のほぼ中央にあって、近くを神通川(じんつうがわ)が流れている。この川の上流にあった鉱山がカドミウムを排出したために、下流の住民が骨や内臓に異常を生じて、日本で初めて公害病の認定を受けた「イタイイタイ病」で知られる。中流付近にあるメガソーラーの用地は、土を採取して下流の田んぼを復元するのに使われた跡地である。

 富山県が所有する20万平方メートルの土地には、発電能力7.7MW(メガワット)の「SGET富山メガソーラー発電所」が2月下旬から稼働している(図1)。年間の発電量は697万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1900世帯分の電力を供給することができる。

図1 「SGET富山メガソーラー発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:スパークス・グループ

 メガソーラーがある富山市の中部は豪雪地帯のため、積雪の影響を受けにくい方式で太陽光パネルを設置した。パネルの設置角度は30度に傾けて雪が滑り落ちるようになっている(図2)。パネルを設置する架台も支柱を長くして、2メートル以上の高さに設定した。それでも冬の日照時間が夏と比べて3分の1以下になり、発電量は大幅に下がってしまう。豪雪地帯に共通する制約である。

図2 太陽光パネルの設置状況。出典:スパークス・グループ

 発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を北陸電力に売電する。2012年度の買取価格(1kWhあたり40円、税抜き)を適用できるため、年間の売電収入は約2億8000万円を得られる見通しだ。メガソーラーを運営するのはスパークス・グリーンエナジー&テクノロジーが設立した特別目的会社の「SGET富山メガソーラー」である。

 総事業費は約28億円にのぼり、そのうち約9億円を「スパークス・官民連携グリーンエナジー投資事業有限責任組合」が出資した。この組合は東京都が全国各地に再生可能エネルギーを拡大するために、民間企業と共同で運営している投資ファンドの1つである(図3)。富山のプロジェクトでは東京都の持ち分は約1億5000万円になる。

図3 「官民連携インフラファンド」の投融資案件(2014年6月時点)。出典:東京都環境局

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