富山県の企業局が浄水場でメガソーラーの建設を開始した。浄水場の沈殿池を含む敷地全体に、7000枚以上の太陽光パネルを設置する。積雪対策のためにパネルの角度を20度に傾ける一方、沈殿池の上部に設置するパネルは工業用水で融雪できるようにして5度に抑える。
メガソーラーを建設する場所は富山市内にある「神通川浄水場」で、約2万9000平方メートルの敷地に7248枚の太陽光パネルを設置する(図1)。この地域は冬に大量の雪が降るために、パネルの積雪対策が欠かせない。
角度を傾けて雪を落ちやすくする対策が一般的だが、日影の範囲が広くなる問題がある。隣接するパネルが日影に入らないようにするためには、パネルの間隔を空ける必要があり、敷地内に設置できるパネルの数が少なくなってしまう(図2)。
浄水場を運営する富山県の企業局は、水を使って雪を融かす方法を考え出した。浄水場の中にある沈殿池の上部にもパネルを設置するが、その角度は5度に抑える。沈殿池の上であれば水を流して雪を溶かすことができるからだ。パネルの日影が小さくなって、設置間隔を狭めることが可能になる。
用地を最大限に活用するための工夫である。この方法によって7000枚以上のパネルを設置でき、発電能力を1.75MW(メガワット)まで増やすことができた。年間の発電量は209万kWhを想定している。
発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を売電する。20年間の収入は約16億円を見込んでいる。これに対して建設費は約半分の7億7635万円で済み、十分に採算がとれる状況だ。2014年3月までに運転を開始する予定である。
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