雪に強いメガソーラー、1年半の実績をもとに15MW拡張へ自然エネルギー

自治体が運営するメガソーラーで最大規模の発電設備が雪国・新潟県に誕生する。2011年10月に運転を開始した「新潟東部太陽光発電所」で15MWの拡張工事が始まった。2015年度中に稼働する計画で、積雪対策を施した大規模なメガソーラーになる。

» 2013年04月10日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 新潟県の企業局が運営する「新潟東部太陽光発電所」は、県北東部の阿賀野市にある産業団地の中に設置されている。発電能力が各1MW(メガワット)の「1号系列」と「2号系列」が稼働中で、運転開始から1年半の実績をもとに発電能力を一気に15MWへ拡大した「3号系列」を新たに建設する(図1)。4月8日から工事を開始して、完成は2015度中を予定している。

図1 「新潟東部太陽光発電所」の拡大イメージ(中央の濃い青色の部分が既存設備)。出典:新潟県企業局

 新潟県は豪雪地帯が多く、阿賀野市でも冬には1メートル以上の雪が積もることがある。東部太陽光発電所は積雪対策を実施した点が特徴で、過去1年半で想定通りの発電量が得られることを実証した。

 既存の設備では「1号系列」の太陽光パネルの設置角度を夏には20度、冬には40度に変更できる可変式を採用。もうひとつの「2号系列」では30度に固定した。いずれも架台の高さを1.8メートルにしてパネルが雪に埋もれないようにしている。

図2 可変式の「1号系列」(左)と固定式の「2号系列」(右)。出典:新潟県企業局

 この冬の実績で2号系列の固定式でも雪が積もらず、想定通りの発電量を得られたことから、新しく建設する大規模な3号系列ではコストの安い固定式を採用した。太陽光パネルは真南に向けたうえで、南北の間隔を詰めて設置枚数を多くする(図3)。

図3 積雪を防ぐ太陽光パネルの設置方法。出典:新潟県企業局

 さらに既存の2号系列では電力変換用のパワーコンディショナーの能力よりも太陽光パネルの発電規模を25%多くした。これは日射量が少なめでもパワーコンディショナーの性能を最大限に発揮する狙いからである。

 3号系列でも同様の手法をとり、15MWのパワーコンディショナーに対して太陽光パネルは21.3MWと42%も多く設置する。これにより年間の発電量は2073万kWhを見込む。設備利用率はパワーコンディショナーの能力比で15.8%、太陽光パネルの能力比で11.1%になる。太陽光発電システムの設備利用率は全国平均で12%程度であることから、パワーコンディショナーの設備利用率を4ポイント近く引き上げられることになる。

 発電した電力は東北電力に売電する。3号系列の建設費と工事費は合計で52億8000万円(税抜き、土地代と連系費用を除く)。これに対して2013年度の買取価格(36円/kWh)を適用して売電収入を計算すると年間7億4600万円程度になる。積雪対策が効果を発揮して想定通りの売電収入を得られれば、十分に採算がとれる。

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