急拡大する固定価格買取制度、12月の認定設備が前月比45%増加法制度・規制

2012年12月末時点の固定価格買取制度の認定状況が2か月も遅れて発表された。年末に申請件数が急増して、事務局の作業が追いつかなかったようだ。特に非住宅用の太陽光発電が前月比で45%の大幅な伸びを示したほか、風力やバイオマスの認定設備も順調に拡大した。

» 2013年03月14日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 担当官庁の資源エネルギー庁にとっては、まさに嬉しい悲鳴を上げるような状況だろう。2012年12月に固定価格買取制度で認定された設備の件数は1か月間に約3万7000件も増えて、7月からの累計で22万4534件に達した。

 特に増加が著しかったのは非住宅用の太陽光である。その中でも出力が1000kW以上のメガソーラーが11月末の524件から12月末には742件に急増した。12月だけで大規模な太陽光発電設備が218件も認定されたことになる。

 発電設備の出力規模で示すと、メガソーラーの広がり具合がよくわかる。12月に大幅に増えたことにより、累計では200万kWを突破して、太陽光全体の半分近くを占めるまでに拡大した(図1)。

図1 太陽光発電設備の規模別に見た認定状況(累計出力、単位:kW)

 最近になって資源エネルギー庁が発表した統計によると、メガソーラーの導入コストが当初の想定から1割以上も安い水準まで下がっている。これが導入を加速させる大きな要因と言える。

 太陽光以外では、風力が前月比で11.3万kWと大きく伸びたほか、バイオマスも3.2万kWと順調に拡大している(図2)。風力では山形、茨城、高知、鹿児島の4県で前月から1万kW以上の増加があった。バイオマスでは大阪府で一般廃棄物を使った1万3500kWの大型設備が新たに認定されている。

図2 再生可能エネルギーによる発電設備の導入状況。出典:資源エネルギー庁

 今後は2013年4月から買取価格の改定が見込まれていて、最終案が3月11日に公表された。その案には太陽光発電の買取価格を1kWhあたり4円引き下げることが盛り込まれている。事前に想定されたことでもあり、2012年度内に認定を受けるために1月から2月にかけて申請件数が集中した可能性が大きい。

 本来のペースであれば、そろそろ2月末のデータが発表される時期だが、これもかなり遅れることは確実な状況だ。1月末の数字でさえ、今年度内に集計できるかどうか。資源エネルギー庁の嬉しい悲鳴は当分続きそうだが、買取価格が下がる4月以降に伸び悩むことはないのか心配な面が残る。

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