再生可能エネルギーの本命とも目される風力発電が2012年に全世界で大きく伸びた。新たに建設された発電設備の容量は前年比で10%増加して、2009年以来3年ぶりに2ケタの成長率を示した。国別では中国が1万3200MWでトップ、日本は88MWで中国の150分の1に過ぎない。
海外の風力発電の拡大ペースは驚異的だ。国際的な業界団体のGWEC(グローバル・ウインド・エナジー・カウンシル)がまとめた統計資料によると、2012年に全世界で新たに設置された風力発電設備の容量は合計で4万4711MW(メガワット)にのぼり、前年比で10.0%も増加した(図1)。日本流にキロワットで換算すると4471万kWになる。
2009年以降は伸びが鈍化していたものの、それでも毎年4万MW前後の増加を続けている。発電能力で比較すると大規模な原子力発電所が毎年40基ずつ増えることに匹敵する(実際の発電量は3分の1程度になる)。今後も当分の間は同様のペースで拡大し続けるだろう。
2012年の新規設置容量を国別に見ると、中国が最大で1万3200MWに達し、全体の3割を占める。第2位は僅差で米国が1万3124MWで続く。この両大国で全体の59%を占めており、3位以下を大きく引き離している。
3位以下10位までを挙げると、ドイツ(2439MW)、インド(2336MW)、英国(1897MW)、イタリア(1273MW)、スペイン(1122MW)、ブラジル(1077MW)、カナダ(935MW)、ルーマニア(923MW)の順になる。ヨーロッパの先進国に加えて新興国でも風力発電の導入が活発に進んでいる状況がわかる。
残念ながら日本は88MWにとどまり、順位は不明だ。中国と比べると150分の1の規模である。累積の設備容量で比較しても、中国の7万5564MWに対して日本は2614MWで30分の1しかない。国土の広さが違うとはいえ、GDP(国内総生産)は同レベルにあり、差がつき過ぎた印象はぬぐえない。せめて面積が同程度のイタリア(累積で8144MW)には早く追いつきたいところだ。
GWECは洋上風力発電の設備容量も集計している(図2)。2012年には全世界で1292MWの洋上風力発電設備が新設されて、陸上風力を含めた全体の3%弱を占めた。トップは日本と同じ島国の英国で、2012年だけで854MWも増加した。累積では2948MWまで拡大している。中国の洋上風力は累積で390MW、日本は25MWである。
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