ガソリン、天然ガス、LPガスに加えて「水素」を選べる商用ステーションが完成自然エネルギー

東邦ガスが愛知県日進市の日進エコ・ステーション内に2014年5月から建設を進めていた日進水素ステーションがこのほど完成した。2015年5月中旬から運用を始める。

» 2015年04月24日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 東邦ガスの新たな水素ステーション「日進水素ステーション」は同社初の商用水素ステーションとなる。施設内に水素製造装置を持つオンサイト方式ではなく、他の場所で製造した水素を搬送するオフサイト方式を採用する(図1)。

photo 図1:日進水素ステーションの外観。天然ガス用と水素用のディスペンサー(充てん機)を同一アイランドに設置 出典:東邦ガス

 日進エコ・ステーションは4165平方メートルの敷地に既存のガソリン・天然ガス・LPガスのスタンドも併設して営業を行っている。天然ガスと水素用の充填(じゅうてん)機は同一アイランド上に設定されている。水素ステーションは、圧縮機、蓄圧器、冷凍機、ディスペンサーなどで構成されているという(図2)(関連記事)。

photo 図2:オフサイト方式の水素ステーションの仕組み ※出典:東邦ガス

 供給能力は1時間当たり300N立方メートル(約30kg)で、充填圧力は70MPa(メガパスカル、約700気圧)、1台当たり3分程度で充填可能だとしている。同社では2015年度(2016年3月期)に1日当たり3台程度の利用を見込む。水素の販売価格は1100円/kg(消費税別)としている。この価格は同じくらいの車格のハイブリッド車の燃料代と同水準になるようにしたという。

 東邦ガスではこれまで実証用として2002年の同社技術研究所を皮切りにセントレア、とよたエコフルタウンの3カ所の水素ステーションを建設・運用してきた。ただ、市販の燃料電池車(FCV)への充填が可能な商用の水素ステーションは同社では初めて。また、これまでは水素ステーション内に水素製造装置を持ち現地で水素を製造するオンサイト方式を用いてきたが、今回のオフサイト方式の採用により水素ステーションの運用ノウハウを構築していく。

 東邦ガスでは中期経営計画のアクションプランでエネルギー関連分野を中心に事業領域の拡大を掲げ、その一環としてFCVに水素を供給するためのインフラ整備を上げている。2015年度中に日進を含めて新たに2基の水素ステーションを建設する他、既存3基についても実証研究を終えた後、順次商用化する計画だ。

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