「狭い屋根でたくさん発電」が好調、パナソニックが太陽電池を増産へ太陽光(1/2 ページ)

パナソニックは2015年5月18日、太陽電池事業についての説明会を開催。以前から推進する「国内・屋根置き・創畜連携」などを重視する方針の下、国内市場での販売が好調を続けており、新たに島根県および滋賀県で生産する太陽電池モジュールを増産することを発表した。

» 2015年05月19日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 パナソニックでは住宅関連事業で2018年度(2019年3月期)に2兆円を目指す方針を示している。同事業を担当するエコソリューションズ社は2014年度(2015年3月期)で1兆6600億円の売上高となっており、順調な成長を遂げている。エコソリューションズ社の中でも中核を担っているのが、太陽電池や電力関連機器、ビルシステム機器などを扱うエナジーシステム事業部だ。2014年度売上高は4145億円となっているが、国内での太陽電池市場の需要拡大に対して、さらに成長を加速させる方針だ。

変換効率25.6%を達成

 同社が提案するシリコン系の「HIT太陽電池」は、高い発電効率と優れた温度特性を持つことが特徴だ(図1)。2014年4月には、開発レベルで変換効率25.6%、量産レベルで22.5%を達成している(関連記事)。

photo 図1:HIT太陽電池の高い変換効率(クリックで拡大)※出典:パナソニック

 太陽電池は高温になるほど変換効率が下がる特性があるが、同社が提案するHIT太陽電池では高温でも出力低下が少ない。そのため、夏場など高温環境になるような場面でも高出力が可能となり、同一面積の太陽電池と比べた時に、年間発電量が大きくなるという。

photo 図2:HIT太陽電池の温度特性と発電量の変化(クリックで拡大)※出典:パナソニック

「屋根置き」に集中することで特徴を発揮

photo パナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 ソーラービジネスユニット ビジネスユニット長 吉田和弘氏

 同社ではHIT太陽電池のこれらの特性を生かして「狭い面積で高い発電効率を要求される高品質な領域に特化した提案を行ってきた」とパナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 ソーラービジネスユニット ビジネスユニット長 吉田和弘氏は語る。具体的には、住宅用を含む500kW(キロワット)以下の領域に集中し「屋根設置」の案件をメインターゲットに提案を進めてきた。

 吉田氏は「面積の限られた屋根でより多くの発電が可能な高性能と長期間使える信頼性などを強みとして販売を進めている。蓄電池との複合提案なども好評だ」と述べている。実際に国内の住宅用を中心に順調に導入拡大が進んでおり、現在同社が持つ900MWというHIT太陽電池の生産能力はひっ迫してきたという。

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