「オゾン層」と「地球温暖化」、地球を守る2つの基準で進むフロン類の規制法制度・規制(2/3 ページ)

» 2015年06月30日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

高い温室効果を持つフロン類

 代替フロンであるHFCは、二酸化炭素の数百から数千倍の温室効果を持ち、大気中に排出されると地球温暖化を推し進める要因となり得る。地球温暖化に向けた国際的な対策では1997年に京都議定書が採択され、代替フロンはこの中で地球温暖化への影響度が高い6ガスの中に含まれた。そのため、HFCについても大気中への放出を抑える必要性が高まってきた(図3)。

photo 図3:フロン類の地球温暖化への影響(クリックで拡大)※出典:経済産業省

 そこで日本では2001年にフロン回収・破壊法が制定された。業務用冷凍空調機器の整備や廃棄を行った際に冷媒として使用されるフロン類の回収と破壊が義務となった。これはフロン類の破壊時の放出を抑えることには成功したが、実際に生産・出荷されているフロン類の排出を抑えるには至らなかった。機器の破壊時にはフロン類は大気に放出されることはないが、ユーザーが機器を使用している時に想定以上の漏えいが起きていることが明らかになったのだ。

 経済産業省の調査によると、生産・出荷量に対して回収率は30%前後で推移しており、70%近くが大気に放出されていることが分かった(図4)。

photo 図4:フロン類の回収量の推移(クリックで拡大)※出典:経済産業省

 実際に日本が排出する温室効果ガスの内、代替フロンの影響度は高まっている。環境省と国立環境研究所が発表した、2013年度の日本の温室効果ガス排出量(確定値)では、基準年である2005年度と比較して排出量が大きく増え、温室効果への影響度を高めたのがHFC類となった。代替フロンなど4ガスの2005年度の排出量は2770万トンだったのに対し、2013年度の排出量は3180万トンで2005年度比で39.5%も増加している(関連記事)。

 これらの「使用時」のフロン排出を抑えるため、2015年4月にフロン回収・破壊法が改正され「フロン排出抑制法」が施行されることになった。フロン排出抑制法では、機器の破壊・回収時に加え、フロン類を使用した機器を利用するユーザー企業にも、フロン類を管理する義務が生じるようになったことが最も大きなポイントだ(関連記事)。

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