“HEMS時代”で先を行くパナソニック、カギを握るゼロ・エネルギー・ハウスの基盤スマートハウス(1/2 ページ)

2016年4月からの電力の小売全面自由化がスタートし、さらに政府が「ゼロ・エネルギー・ハウス」の普及に注力するなどHEMS需要は拡大傾向にある。HEMS関連事業に注力するパナソニックは、こうした需要拡大を見越し、HEMS対応の住宅分電盤の拡販強化に乗り出した。

» 2015年07月13日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 パナソニックは2015年7月9日、東京都内で会見を開き、同社の住宅向けエネルギーマネジメントシステム事業の方針について説明した。HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を利用したスマートホームの普及促進に向けて、同社のHEMS対応住宅分電盤「スマートコスモ」の拡販に取り組む方針だ。同分電盤の価格を見直すとともに生産体制も強化する。

パナソニックの「スマートHEMS」

パナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター センター長の磯崎典夫氏

 パナソニックは2012年から「スマートHEMS」として、HEMS関連製品の販売開始している。パナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 新事業推進センター センター長の磯崎典夫氏は「2016年の電力小売の全面自由化、さらに政府がゼロ・エネルギー・ハウスの普及を進めるなど、家庭を取り巻く電力環境は大きく変化している。これにより今後は、どの電気料金プランを選ぶべきか、太陽光発電などを利用して発電した電力を上手く活用するにはどうしたらいいのかといったニーズが発生すると考えている。こうしたニーズに対してもパナソニックのスマートHEMSがあれば対応できる」と語る。

 パナソニックのスマートHEMS関連製品の中核をなす製品は2つある。1つがエアコンなどの家電を自動でコントロールして節電を行える制御装置「AiSEG(アイセグ)」だ。2012年から販売を開始している。もう1つが2014年から販売しており、今回さらなる拡販を行うHEMS対応の住宅分電盤「スマートコスモ」だ。パナソニックはこれらの2つの製品を「ゼロ・エネルギー・ハウスにおけるプラットフォームと位置付ける(図1)。

図1 パナソニックが目指すスマートホーム(クリックで拡大)出典:パナソニック

 スマートコスモ(図2)は分岐電流センサーを標準搭載するAiSEGと連携可能な住宅分電盤だ。太陽光発電設備や「エネファーム」などを後から追加したいといった場合でも、一般的な住宅分電盤のように増設ボックスなど利用せず、スマートコスモの本体内に連系ブレーカーを追加できる設計となっているのが大きな特徴だ。つまりスマートコスモを取り付けておけば、太陽光発電設備や蓄電池などの創エネ・畜エネ機器やHEMSを後からでも簡単に導入できるというわけだ。ではなぜパナソニックはスマートコスモの拡販に注力するのか。

図2 パナソニックが拡販するHEMS対応住宅分電盤「スマートコスモ」出典:パナソニック
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