停電時でも実は余っている電力がある、余剰電力でBCPを強化できる新サービス:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
トラムスボードは監視制御装置と、電力幹線に設置する制御ユニットを搭載した新設分電盤で構成される。監視制御装置が建物の停電発生状況、非常用発電機の稼動状況、火災発生状況などの各信号を受け、「通常時」「停電時」「BCP対応時」などの運転モードを選定し、分電盤の制御ユニットに運転モードに応じた信号を送信する自動制御を行う。
制御ユニットは受信したモード信号に応じて、余剰電力を複数の分電盤に等配分したり、防災対策室などの電力を必要とするエリアに効率的に分配したりするという仕組みだ(図2)。
図2「BCP対応時」場合のシステム構成図 出典:日立製作所
トラムスボードの導入については、専用の電力幹線の設置が不要で、商用電力で使われている電力幹線を利用できる。これにより大規模な取り付け工事を行わずに済むため、既存建物の場合は従来方式と比べてシステム構築に必要な導入コストと工期を半減できるという(図3)。
図3 商用電力の電力幹線が利用できるため、導入コストを抑えられるという 出典:日立製作所
トラムスボードは日立のビル管理システムに関する技術と、三井不動産が手掛けるビル運営での防災強化・BCPサポートのノウハウを活用した。両社は既にトラムスボードの導入に向け複数物件で設備状況の調査を開始しており、今後はオフィスビル、医療施設、公共施設向けに提供を進め、BCP対策の強化を支援していく方針だ。
- 「小さな系統」役立てる、オフィスや工場のBCP・省エネに
日立造船はBCP(事業継続計画)対策や省エネ対策に役立つ技術開発を進めている。発電、蓄電、制御を組み合わせた「マイクログリッドシステム」がカギだ。既にオフィス向けシステムの受注を受け付けており、2014年10月には中規模工場向けシステムの実証実験を開始した。
- ガスと太陽光でBCPを強化、停電時でも1日以上のエネルギーを供給
3年前の東日本大震災を契機に、BCP(事業継続計画)を作り直した企業は多い。特に電力の供給がストップした場合の対策が重要だ。大阪ガスは自社ビルにBCPの機能を実装して、エネルギーの消費量を40%も削減した。ガスと太陽光を組み合わせたエネルギー供給システムが効果を発揮する。
- 20kWhと大容量の法人用蓄電システム、NECがビジネス継続用に製品化
NECはBCP(ビジネス継続計画)に役立つ法人向け大容量リチウムイオン蓄電池を製品化した。容量により2種類の製品がある。容量20kWhの製品は太陽光発電システムと直流のまま接続できるなど、停電時のシステム利用時間をより長くできる工夫を入れ込んだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.