電気料金の値上げに注目が集まるが、実際にはガソリンや灯油の価格も震災後に大幅に高くなっている。消費者物価指数を見ると、ガソリンは過去4年間に23.2%、灯油に至っては38.0%も上昇した(図5)。原油の輸入価格が1.5倍になった影響による。
さらにLNG(液化天然ガス)の輸入価格も4年間で高騰した。原油を上回って2倍近い水準まで跳ね上がった。それでも都市ガスの価格は電気料金よりも小さい値上げ幅に収まっている(図6)。東京ガスの家庭向けの標準料金を見ると、過去4年間で2割弱の上昇にとどまった。
都市ガスの事業者は長年にわたる電力会社との競争によってコスト削減の取り組みを進めてきた。2017年4月には都市ガスの小売全面自由化が始まることから、電力とともに価格の上昇傾向が収まる可能性は大きい。特に2015年に入ってからLNGの輸入価格が大幅に下落している。米国産のシェールガスの増加が要因で、それに伴って電気料金もガス料金も下がってきた。
電気料金をはじめエネルギーの価格はバブル景気が始まった1980年代の前半が最も高かった(図7)。第2次石油ショックによる原油の高騰が原因だ。電気料金の平均単価は直近の2013年度と比べても2割ほど高い。その後は下がり始めたが、1990年代の後半までは現在と変わらない水準で推移した。
第2次石油ショックに続くバブル景気によって日本の電力市場は拡大を続ける一方、電力会社の発電設備は大きく変容し始める。1970年代まで全体の半分を占めていた石油火力は徐々に減って、代わりにLNG火力と原子力が急速に増えていく(図8)。さらに1990年代に入ると燃料費の安い石炭火力も伸びた。
2013年度の時点では石油・LNG・石炭を合わせた火力発電設備が6割以上を占める。ここで注目したいのは、燃料費の高い石油火力が40年前からほとんど減っていないことだ。2030年には大半の設備が不要になる見込みで、電力会社には計画的な廃炉が求められている。
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