実は7月29日(水)の19時台に、予備率が3.4%まで低下する事態が発生していた。供給力に対する需要の割合を示す「使用率(需給率)」は96.7%に達した(図3)。さらに最大電力を記録した8月6日にも、需要がピークに達した16時台には予備率が13.5%あったものの、19時台になると3.7%まで急降下してしまった(使用率は95.8%)。
こうした状況から、九州電力は太陽光による電力がなくなる日没後の19時台を「点灯ピーク」と名づけて注視するようになった。家庭や企業で照明をつけるために需要が増えるからだ。7月と8月の2カ月間のうち、需要が最大になる時間帯の使用率が90%を超えたことは1日しかなかったが、点灯ピークの時間帯には92%を超えるケースが合計で7日も発生している。
95%を突破した8月6日の点灯ピーク時の需給状況を見てみると、需要は16時台から少しだけ減って19時台でも1473万kWあった(図4)。これに対して供給力は太陽光が152万kWも減少したことで1538万kWしか確保できず、予備率が3%に近づく厳しい状態に入ってしまった。昨年の夏は太陽光の供給力が最大で94万kWだったが、今年は大幅に増えたために、火力による調整が追いつかなかったようだ。
九州は全国でも太陽光発電の増加が著しく、需給バランスを維持する点で最初に問題が発生してきた。点灯ピークによって供給力が不足する問題も国内では初めてのケースだ。ただし当面の解決策はむずかしくない。あらかじめ供給力を多めに確保しておけば、火力など他の電源で対応できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.