最大電力が発生した8月6日の16時台には、事前の見通しと比べて火力の供給力が46万kW少なくなっていた(図5)。需要の増加に備えて待機していた火力発電設備の出力を増やさなかったことによるもので、点灯ピークを想定していれば追加できた電源である。火力を46万kW増やせば、点灯ピーク時の予備率は3.7%でなくて7.5%に上昇する。
火力と太陽光を除いて他の電源は見通しと同程度の供給力を発揮した。水力も天候によって発電量が変わるが、8月6日は計画値どおりに電力を供給することができた(図6)。一方で太陽光は天候による変動の幅が大きくなるが、需要が増える晴天の日には発電量も増えるため、昼間の需給バランスに影響を及ぼす可能性は小さい。
今後も太陽光による発電量は拡大し続けることから、来年の夏には点灯ピーク時の対策を事前に検討しておかなくてはならない。その1つは政府や電力会社が利用者に対して節電を要請する時間帯を見直すことである。
従来は夏の節電に協力する時間帯を平日の9時〜20時に設定したうえで、特に節電が必要な時間帯として13時〜17時を告知していた(図7)。来年の夏からは点灯ピークが発生することを伝えて、20時までは無理のない範囲で節電を実施するように依頼する必要がある。こまめな消灯は家庭と企業でも無理なく実行できる。
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