太陽光だけで電力需要の8%に、災害に強い分散型の電源を増やすエネルギー列島2015年版(25)滋賀(2/4 ページ)

» 2015年10月06日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

市民出資の太陽光発電所が25カ所に

 同様のスキームを使って、さらに大きなメガソーラーの建設プロジェクトも進んでいる。琵琶湖の南端に近い場所に「矢橋帰帆島(やばせ・きはんとう)」と呼ぶ人工の島が造られていて、その島にある県の所有地に滋賀県で最大のメガソーラーを建設する計画だ(図3)。平坦な土地で遊ぶパークゴルフ場があった場所で、広さは10万平方メートルに及ぶ。

図3 「矢橋帰帆島」のメガソーラー建設場所。出典:滋賀県エネルギー政策課

 滋賀県がメガソーラーの事業者を公募して京セラグループを選んだ。用地の中に合計で3万4000枚の太陽光パネルを設置して、発電能力は8.3MWになる。2015年内に運転を開始する予定で、年間の発電量は850万kWhを想定している。一般家庭で2300世帯分に相当する。

 滋賀県は土地の使用料を事業者から得るほかに、非常用電源や太陽光発電による街灯を島内に設置して災害対策を強化することも計画に盛り込んだ。メガソーラーには見学用の展望台を併設して、環境教育にも利用する考えだ。

 こうして大規模なメガソーラーが拡大するのと並行して、市民が出資する太陽光発電の取り組みも活発に進んでいる。固定価格買取制度が始まった2012年から「市民共同発電所」の数が増えて、2015年3月の時点で25カ所に広がった。滋賀県は原子力発電所が数多く集まる福井県の南部に隣接していることもあり、市民のあいだでは再生可能エネルギーを求める声が根強くある。

 農地にも太陽光発電が広がろうとしている。琵琶湖の東側に平野が広がる長浜市では、キャベツやジャガイモなど露地野菜の栽培と太陽光発電を両立させる「農地ソーラーシェアリング推進実証実験」を実施中だ(図4)。

図4 長浜市の「農地ソーラーシェアリング推進実証実験」。出典:滋賀県エネルギー政策課

 地域の農産物直売組合が70平方メートルの農地に4kW(キロワット)の太陽光パネルを設置して、パネルの下で栽培する野菜の生育状況を検証する試みである。野菜の販売収入と売電収入によって安定した所得を目指す新しい農業のスタイルを創造する。

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