太陽光だけで電力需要の8%に、災害に強い分散型の電源を増やすエネルギー列島2015年版(25)滋賀(1/4 ページ)

滋賀県では太陽光発電を中心に分散型のエネルギー供給体制を強化して災害に強い地域づくりを推進していく。2030年には電力需要の8%を太陽光発電で供給できるようにする計画だ。農地には営農型のソーラーシェアリングを広めながら、農業用水路を利用した小水力発電も普及させる。

» 2015年10月06日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 政府が2030年のエネルギーミックス(電源構成)を決めるよりも2年早く、滋賀県は県内の電力需要に占める再生可能エネルギーの比率を10%に引き上げる目標を設定した。家庭用の「エネファーム」など天然ガスと燃料電池を組み合わせたコージェネレーションも拡大して、電力会社に依存しない分散型の電源を25%まで増やす計画だ(図1)。

図1 2030年の再生可能エネルギー導入目標。出典:滋賀県エネルギー政策課

 再生可能エネルギーの中では太陽光発電が多くを占める。2030年には太陽光だけでも県内の電力需要の8%にあたる10億kWh(キロワット時)を供給できるようにする。滋賀県では平野が広く、しかも面積の6分の1を琵琶湖が占めているために、風力や水力を導入できるポテンシャルが他県と比べて小さい。

 その代わりに太陽光発電の導入プロジェクトが各地域で急速に進んでいる。すでに33カ所でメガソーラーが運転を開始したのに加えて、固定価格買取制度の認定を受けて開発中のメガソーラーが80カ所もある。特に県が所有する遊休地を活用したメガソーラーの規模が大きくて目を引く。

 運転を開始した中では、滋賀県で唯一の食肉流通拠点である「滋賀食肉センター」のメガソーラーが代表例だ。食肉センターの構内にある2万5000平方メートルの土地に8600枚の太陽光パネルを設置した(図2)。発電能力は1.75MW(メガワット)で、2013年12月から稼働している。年間の発電量は184万kWh(キロワット時)になり、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して500世帯分に相当する。

図2 「滋賀食肉センター」のメガソーラー。出典:滋賀県エネルギー政策課

 食肉センターを運営する滋賀食肉公社が遊休地の活用と再生可能エネルギーの拡大を目的に事業者を公募して、大阪ガスグループと京セラグループが共同で建設・運営している。食肉公社は土地の使用料のほかに、発電設備の保守管理業務を請け負って収入を得るスキームだ。最近では自治体の多くが採用している方式で、初期投資が不要で長期間にわたって安定した収入を得られるメリットがある。

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