スマートハウスへの取り組みについてIECのショーンベルグ氏は「日本が4年間でやり遂げたことは驚くべきことだ。フランスでは30年かかっている」と語る。
フランスでは電力制御の歴史として、ブレーカーでの制御からスイッチでの制御に移り、約30年前から電力会社が各家庭に信号を送り、電力需給をコントロールするやり方を行ってきたという。現在はIPを活用した第3世代のスマートメーターを導入しているところだというが「フランスでも現状ではうまくいっているが、さまざまな試行錯誤を重ねてきた。料金設定をどうするかという点や、顧客への教育をどうするかというのは重要なテーマだ」とショーンベルグ氏は述べている。
また、スマートハウスの通信規格について「米国のSEPはどちらかといえば電力会社主導で、欧州のBACnetやKNXはビルマネジメントから生まれてきた規格だ。ECHONET Lightはこれらとはまた異なる生まれ方をしていて興味深い。いずれにせよ、4年間で成し遂げたことというのは素晴らしいことだ」とショーンベルグ氏は語っている。
さらに今後の展望としては「バリューチェーンが広がることは間違いない。これをどう捉えるのかということが重要だ。次のテーマとしてはIoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)の考え方が入ってくる。データ分析や活用などを通じ新たな価値をどこで生み出すのかということを考えていかなければならない」とショーンベルグ氏はポイントを指摘している。
IoTやIoEとの結び付きが広がる中で、重要になってくるのがICT(情報通信技術)との関わりである。
NECの國尾氏は「電力システムの自律化、分散化が進む中、協調や安定の確保が必要となり、クラウド型HEMSがそのカギを握る。新たな価値創出が求められる中、BtoBtoCのまん中の『B』が重要になるだろう」と述べている。
また、リチャード氏も「新たなサービスの2つのカギはオートメーションとアナリティクスだ。より高度な自動化とともに、収集可能となったデータ分析により、新たな付加価値を生み出すことができる。日本の標準化や環境整備への取り組みは素晴らしかったが、標準化が市場を作るわけではなく市場が標準化を求めているのである。IoTやビッグデータ、HEMSがつながった世界で新しい価値を生み出していかなければならない」と語っている。
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