国内初の地熱発電所を52年ぶりに更新へ、2種類の蒸気で出力2000kWアップ自然エネルギー(1/2 ページ)

運転開始から48年を経過した九州電力の地熱発電所で設備更新の計画が進んでいる。現在は地下からくみ上げた高圧の蒸気で発電する方式だが、新設備では同時に湧き出る熱水から低圧の蒸気を作り出して併用する。発電能力は2000kW、年間の発電量は4400世帯分も増える見込みだ。

» 2015年11月05日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 大分県の九重町(ここのえまち)には国内最大の「八丁原(はっちょうばる)発電所」をはじめ、地熱発電所が数多く集まっている(図1)。その中で1967年に稼働した「大岳(おおたけ)発電所」は事業用では日本で初めての地熱発電所だ。運転開始から48年を経過して設備が老朽化してきたことから、九州電力は発電設備の更新計画を進める。

図1 「大岳発電所」の所在地と九州電力の地熱発電所。出典:九州電力

 設備の更新に先立って必要な環境影響評価の手続きが10月29日に第2段階の「準備書」へ移行した。順調に進めば2017年の半ばに工事を開始して、2019年12月に新しい発電設備で営業運転を開始する予定だ。新設の発電設備は隣接する区域に建設する(図2)。その間に既設の発電設備も運転を続け、新しい設備が試運転に入ってから停止することにしている。

図2 新設する発電設備の完成イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 更新後の発電能力は1万4500kW(キロワット)になって、従来よりも2000kW増える計画だ。一般に地熱発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は極めて高く、九州電力が同じ九重町で運転している八丁原発電所では90%に達する。

 大岳発電所の設備利用率は不明だが、八丁原と同様の高い水準になれば、設備更新によって年間の発電量が1580万kWh(キロワット時)も増える。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して4400世帯分に相当する。この増加分だけでも九重町の総世帯数(3900世帯)を上回る電力を供給することができる。

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