研究グループは上記の理論を基に、直径400ミクロン(1000分の1ミリメートル)の石英細管に液体金属であるガリウム合金を流す実験を行った。その結果、100ナノボルト(1000万分の1ボルト)の電気信号が得られることがわかったという(図3)。
実験では渦運動を駆動するために時刻0から10秒までの間圧力を加えている。圧力を加えている間のみ電圧が生じる。加える圧力(0.1から0.6メガパスカル)を大きくする程、取り出せる電圧も大きくなった(図4)。研究グループはこうした成果について「電子のスピンが液体金属の渦運動と量子力学的に相互作用することを世界で初めて証明した」としている。
従来の流体発電では、水流でタービンを回転させる水力発電や、磁石を使った磁気流体発電のように、タービンや磁石といった外部装置が不可欠だった。研究グループは今回発見した手法により「電子の自転運動と流体渦運動との相互作用を利用するので外部装置が不要となり、原理的には発電装置の超小型化が可能」としている。
また、実験で得られた電気信号は100ナノボルト非常に微弱なものだが、研究グループは「微弱な電力で駆動するナノロボットの電源装置への応用が期待される。また得られる電気信号の強度が流体の速度に応じて変化することを利用して、ミクロンスケールの微小な領域における流体の速度を電気で観測する流体速度計の実現も期待できる」としている。
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