石油の依存度が大きい沖縄で再生可能エネルギーによるCO2削減の取り組みが進む。本島にある下水処理場のうち2カ所でバイオガス発電設備の建設が始まった。下水の処理で発生する大量のバイオガスから電力を作ることで、CO2排出量を20%削減できる見込みだ。
沖縄本島には下水の浄化センターが9カ所にある(図1)。このうちの2カ所でバイオガス発電のプロジェクトが進んでいる。
本島の中でも人口が多い南部にある「宜野湾(ぎのわん)浄化センター」と「具志川(ぐしかわ)浄化センター」に、バイオガスを燃料に使える発電設備を導入する計画だ(図2)。
浄化センターを運営する沖縄県がセンター内の用地を発電事業者に貸し付けるのと合わせて、下水の処理工程で発生するバイオガス(消化ガス)の余剰分を売却する。発電事業者はガスエンジン発電機を設置したうえで、売電収入をもとに土地の使用料とバイオガスの利用料を県に支払うスキームだ(図3)。県は初期投資せずに新たな収入を得ながら、再生可能エネルギーを増やしてCO2(二酸化炭素)の排出量を削減することができる。
発電能力は消化ガスの余剰分が多い宜野湾浄化センターでは1460kW(キロワット)、余剰分が少ない具志川浄化センターでは300kWになる。年間の発電量は640万kWh(キロワット時)と190万kWhを見込んでいる。両方を合わせると一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2300世帯分になる。
この発電量を沖縄電力のCO2排出実績にあてはめると5700トンにのぼる。2カ所の浄化センターと関連施設から発生するCO2排出量の20%に匹敵する。沖縄県が推進する地球温暖化対策の中で、下水処理に伴うCO2の削減は重要なプロジェクトの1つだ。
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