東京電力は、2016年4月に分社化予定の発電子会社「東京電力フュエル&パワー(FPC)」の事業戦略について説明。高効率な次世代火力発電所の導入による燃料コストの削減や、発電所の効率的な運営などの強みを生かし、新たなビジネスとして外部に提供することも検討する。
電力会社は法改正で2020年4月1日までに「発電・送配電・小売」の3事業を別会社に分離しなくてはいけないことが決まっている。これを受け各社は分社化に向けた取り組みを進めはじめている。中でも他社に先行し、2016年4月をめどにホールディングカンパニー制(持ち株会社制)への移行を決めたのが東京電力だ。同社は2015年11月30日に会見を開き、分社化する3社のうち、発電部門を担う東京電力 フュエル&パワー(以下、FPC)の事業戦略について説明した。
FPCは東京電力の新体制の中で、燃料採掘などの上流事業から輸送、貯蔵といった調達事業、そしてこれらを火力発電設備などを利用して電力に変える発電事業までを事業領域としている(図1)。なお、送配電事業を行うのは東京電力パワーグリッド、小売事業は東京電力エナジーパートナーが担う。
会見に登壇した東京電力 フュエル&パワー 経営企画室長 兼 経営企画ユニットの酒井大輔氏は「FPCの使命は低廉な燃料や電力を安定的に届けるとともに、企業価値を高めていくことで東日本大震災で被害を受けた福島の復興減資を創出していくことにある。燃料調達から発電までの、サプライチェーン全体における商流を太くすることを目指し、企業としての価値を高めていきたい」と述べる。
2016年4月から電力の小売全面自由化がはじまるなど、過去最大規模の制度改革が進む日本の電力市場。こうした変革に向けたFPCの事業戦略の基軸となるのは、中部電力との合弁会社「JERA(ジェラ)」の設立※といった、サプライチェーン全体にかかわる包括的なアライアンスの形成だ。JERAの設立は、火力発電事業における新規開発業務や燃料調達規模を拡大し、サプライチェーンの最適化などを実現することで、自由化後の電力市場で競争力を発揮していく狙いがある。
※関連記事:時代を変える火力発電会社が4月30日に誕生、東京電力と中部電力の「JERA」
FPCではこうした包括的アライアンスを戦略の基軸に、さらなる注力領域として「燃料費・使用量の削減」や「火力発電所運営事業の生産性向上」に取り組んでいく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.