ナトリウム電池が実用へ、再生エネから自動車まで蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2015年12月08日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

豊富なナトリウムを生かす

 CNRSによれば、ナトリウムを蓄電池に使おうという発想は、1980年代にさかのぼる。しかし、1991年にソニー・エナジー・テックがリチウムイオン蓄電池の量産に成功。軽量ながら大量の電力を蓄えられる蓄電池として、携帯型電子機器からEVまで広く普及している。

 リチウムイオン蓄電池の性能をさらに高めようという研究開発は多数進んでおり、これからも性能向上を期待できる。

 しかし、リチウムイオン蓄電池には弱点もある。リチウムの埋蔵量が少なく、地域的な偏りがある。2020年には現在の2倍の800億米ドルにまで蓄電池市場が拡大するという予測があり、その後の需要拡大も著しい。こうなると、希少なリチウム資源の奪い合いにつながっていくだろう。「今後10年間でリチウムは不足し、価格が上がる」(RS2E)。すると電池価格も上昇する。リチウムイオン蓄電池が蓄えることのできる電気量は内蔵するリチウムの量にほぼ比例するため、リチウムの利用量を削減する取り組みは進んでいない。

 リチウムを使わない蓄電池の研究開発に期待が掛かるのは、このような資源の課題に応えられるためである(図2)。ナトリウムは地殻の2.6%を占める豊富な元素であり、地理的な偏りも少ない。食塩はもちろん、炭酸ナトリウムとして既に年間5000万トン以上も生産されている。リチウムの年産4万トンと比較して圧倒的な規模だ。

図2 食塩の上に置いた蓄電池 出典:Vincent GUILLY/CEA

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.