農地を転用してメガソーラーに、1万4000人の町に7800世帯分の電力自然エネルギー(1/2 ページ)

福島県の太平洋沿岸にある富岡町で大規模な発電プロジェクトが始まった。東日本大震災で被災した農地を転用して、発電能力が28MWに達するメガソーラーを建設する計画だ。富岡町が出資する発電事業者が復興支援の補助金を利用して再生可能エネルギーの導入に取り組む。

» 2015年12月18日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 富岡町の位置。出典:富岡町役場

 富岡町は福島県の太平洋沿岸地域(通称「浜通り」)の中央に位置している(図1)。桜の名所で知られる人口1万4000人の町だが、東日本大震災で津波と放射能汚染の被害を受けて、現在でも多くの住民が避難生活をしいられている。復興に向けた整備計画が進む中、官民が一体になってメガソーラーの建設プロジェクトに着手した。

 建設場所は町の北側にある40万平方メートルの農地だ。復興整備計画の一環で、太陽光発電の事業用地として転用することが認められた(図2)。発電能力は太陽光パネルの出力ベースで28MW(メガワット)を想定している。2017年の秋に運転を開始する予定である。

 年間の発電量は2800万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して7800世帯分に相当する規模で、富岡町の総世帯数(5400世帯)を上回る。発電した電力は固定価格買取制度を通じて東京電力に売電する方針だ。

図2 「富岡町復興整備計画」の土地利用構想。メガソーラーの建設予定地は「農地の再生・活用ゾーン」(中央上部)の中にある。出典:富岡町役場

 発電事業者は富岡町が出資する「富岡復興エナジー」で、地元の福島発電に加えてJR東日本エネルギー開発が事業に参画することも決まった(図3)。この発電事業には「福島県再エネ復興支援事業」の補助金を適用する。発電設備の建設費のうち2割を県が補助して再生可能エネルギーの導入を促進しながら、売電収入を町の復興事業に生かす狙いだ。

図3 「富岡復興エナジー」の事業スキーム。出典:富岡町議会
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