関西電力は時間帯別メニュー1本で勝負、夜間割引を10時間に拡大電気料金の新プラン検証シリーズ(10)(1/2 ページ)

小売全面自由化で厳しい競争を迫られる関西電力だが、4月に投入する新しい料金プランは1種類に限定した。昼間の単価を高くする代わりに夜間を安くする時間帯別のメニューで、夜間の時間帯を従来の8時間から10時間に拡大した。原子力発電所の再稼働を想定した料金プランでもある。

» 2016年01月18日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 関西電力が1月15日に発表した家庭向けの新しい料金プランは至ってシンプルだ。4月に追加するメニューは1種類だけで、しかもガスや電話と組み合わせたセット割引はない(図1)。大阪ガスをはじめ新規参入組が意欲的な割引プランで攻勢をかける中、顧客の流出を食い止めることはできるのだろうか。

図1 家庭向けの新しい料金メニューとサービス。出典:関西電力

 新しいメニューの名前は「eスマート10」で、夜の22時から朝の8時までの10時間を「ナイトタイム」に設定して単価を安くする(図2)。従来の家庭向けの標準メニュー(従量電灯)と比べて約4〜15円も安い。その代わりに昼間の「リビングタイム」には従量電灯で最も高い3段目の単価と同じ水準になる。さらに電力の需要が増える7〜9月の平日13〜16時は「デイタイム」に位置づけて料金を上乗せするプランだ。

図2 「eスマート10」の時間帯別の料金プラン。出典:関西電力

 夜間の単価を安くしたメニューは昼間に家を留守にすることが多い一人暮らしや共働きの家庭に向いている。時間帯別の使用量を把握するためにスマートメーターが必要になるが、設置費用はかからない。

 一方で原子力発電所を稼働させた場合には電力会社にもメリットがある。原子力発電所は昼夜を問わず一定の出力で運転することが前提になっていて、需要が少ない夜間に発電した電力の供給先を確保しなくてはならない。関西電力は原子力発電所を再稼働できることを条件に、2016年度の早い時期に料金の値下げも実施する方針だ。

 こうした時間帯別の料金プランは従来も「はぴeタイム」というメニューで提供してきた。はぴeタイムは4月以降も同じ単価のまま継続する。新しいeスマート10と比べると、ナイトタイムが2時間短い代わりに単価は安い(図3)。

図3 「はぴeタイム」の時間帯別の料金プラン。出典:関西電力

 はぴeタイムでは平日のデイタイムが10〜17時と長くなるため、昼間に電力を使うことが少なければeスマート10よりも割安である。eスマート10に切り替えて得になる家庭は、夜に長時間にわたって電力を利用する場合に限られそうだ。

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