「超スマート社会」を国家戦略で実現へ、エネルギーバリューチェーンを最適化エネルギー管理(1/2 ページ)

日本の科学技術政策の基本戦略をまとめた「第5期科学技術基本計画」を内閣が閣議決定した。全世界で進むIoTによる技術革新を取り込みながら、情報社会に次ぐ「超スマート社会」を実現する構想だ。エネルギーの好循環を図るバリューチェーンの最適化をはじめ11分野のシステムを整備する。

» 2016年01月27日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 「第5期科学技術基本計画」は2016〜2020年度の5年間に推進する政策の基本方針と目標を定めたものだ。内閣が1月22日に閣議決定した。日本を「世界で最もイノベーションに適した国」へ発展させるために、政府・学界・産業界・国民を含めて共同で実行する計画として位置づけている。今後の科学技術分野の政策の指針になる。

 キャッチフレーズに掲げたのは「超スマート社会」の実現だ。基本計画による定義は「必要なもの・サービスを、必要な⼈に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる⼈が質の⾼いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。

 そうした超スマート社会を構成するうえで必要になる11分野のシステムを整備していく(図1)。いずれのシステムにも共通する基盤技術はIoT(Internet of Things、モノのインターネット)である。社会全体に分散する情報機器やセンサーから集まるデータをもとに、システムが最適な判断を下して処理を実行できる仕組みだ。

図1 「超スマート社会」を構成する11分野のシステム。出典:内閣府

 対象になる11分野のシステムで第1に挙がったのは「エネルギーバリューチェーン最適化」である。エネルギーの生産〜流通〜消費の流れ全体をIoTと省エネ技術を組み合わせて総合的に管理・制御できるようにする(図2)。再生可能エネルギーや水素エネルギーの拡大、次世代蓄電池や超電導送電の実用化、パワーエレクトロニクス分野の技術開発による省エネの推進などが主な実行項目になる。

図2 「エネルギーバリューチェーン最適化」の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:内閣府

 それぞれの実行項目に対して目標も設定した。再生可能エネルギーの分野では浮体式の洋上風力発電を2018年をめどに実用化することや、太陽光発電のコストを1kWh(キロワット時)あたり2020年に14円へ、さらに2030年に7円まで引き下げる。海洋エネルギーの発電コストも2020年代に40円まで低減させることが目標だ。内閣府を含めて7つの省庁が連携して推進していく。

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