神戸市では2030年度に向けて水素エネルギーと再生可能エネルギーを拡大する「環境貢献都市KOBE」を推進中だ。市内で消費する電力のうち30%を分散型のエネルギーで供給することが目標で、そのうち半分の15%を太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー、残りの15%を水素を利用した熱電併給(コージェネレーション)システムなどでカバーする(図5)。
さらに市内の燃料電池車(FCV)を約1万台に、水素ステーションを7カ所に普及させる方針だ。市内全域で消費するエネルギーを2005年度比で25%以上削減して、国の目標値(2013年度比で26%削減)を上回る削減率の達成を目指す。すでに市内の各地で再生可能エネルギーによる発電事業が始まっているほか、水素エネルギーの拡大に向けて「水素スマートシティ神戸構想」を展開していく(図6)。
この構想の中に水素サプライチェーンの実証事業が含まれるほか、空港島に隣接する「神戸ポートアイランド」では水素発電による電力と熱を供給するスマートコミュニティの構想も進んでいる。川崎重工業が開発した1MW(メガワット)級の水素CGS(コージェネレーションシステム)を導入して、ポートアイランド内にある市の関連施設に電力と熱を供給する計画だ(図7)。
水素サプライチェーンと水素エネルギーの利用環境を整備しながら環境貢献都市KOBEを推進していく。すでに神奈川県の川崎市や横浜市が水素サプライチェーンの構築に乗り出しているほか、福岡市では再生可能エネルギーを活用した水素の製造・利用プロジェクトを推進中だ。神戸市も地の利を生かして水素社会のリーダーを目指す。
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