シェア5%の新電力が4月から供給停止へ、それでも自由化は進む電力供給サービス(1/2 ページ)

新電力の日本ロジテック協同組合が小売電気事業者の登録申請を取り下げ、4月から電力の供給事業を停止する。同組合は自治体を中心に安い価格の電力を供給してシェアを伸ばし、再生可能エネルギーにも積極的に取り組んでいた。利幅の薄い事業を続けて資金繰りが悪化したものとみられる。

» 2016年02月25日 12時30分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 小売電気事業者の登録審査を担当する「電力取引監視等委員会」は2月19日に日本ロジテック協同組合を適格と判断して、他の30社と合わせて経済産業大臣に意見を提出していた。それから5日後の2月24日になって、日本ロジテック協同組合は同委員会に対して登録申請を取り下げた。

 4月1日に始まる電力の小売全面自由化に伴って、電力を販売する事業者は小売電気事業者に登録する必要がある。登録申請を取り下げたことにより、日本ロジテック協同組合は4月1日から電力の供給事業を継続することができなくなる。

 資源エネルギー庁が集計した2015年9月の月間販売量によると、日本ロジテック協同組合は新電力の中で5%のシェアを獲得して第4位である(図1)。特に全国各地の自治体が実施する競争入札に参加して、2013年から急速にシェアを伸ばしてきた。それに合わせて各地域に支部を展開してきたが、2016年に入ってから北海道と中部の支部を閉鎖している。

図1 新電力の販売シェア(画像をクリックするとグラフ全体を表示)。出典:資源エネルギー庁(電力調査統計)

 日本ロジテック協同組合は「エコサブ」と呼ぶ電力の共同購買事業を実施してきた。企業や自治体などの需要家を組合員として集める一方、発電事業者から一括で電力を購入して需要家に安い電気料金で供給する仕組みだ(図2)。

図2 電力共同購買事業「エコサブ」の仕組み。出典:日本ロジテック協同組合

 さらに再生可能エネルギーの電力を調達することにも積極的に取り組んできた。自治体が運営する太陽光発電所や水力発電所から電力を高く買い取ることに加えて、佐賀県ではグループ会社を通じて大規模なバイオマス発電所の建設も進めている。

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