パナソニックがHEMS市場に積極的に取り組む理由は主に2つある。1つ目が市場の急成長が見込める点である。調査会社の富士経済によるとHEMS市場は2014年度には設置世帯が25万戸だったのが、2020年度には約6倍とある160万戸となる見込みだという。さらに2020年には、標準的な新築世帯においてZEH(ネットゼロエネルギーハウス)が義務付けられるが、ZEHを実現するためにはHEMSは必須となる。すなわちHEMSを採用した家庭が一般的なものになっていくという見込みがあるためである。
もう1つの理由が「分電盤」である。HEMSを実現するためには電力消費の状態をどこかで取得しなければならない。その有力な取り付け先が、家庭に電気を引き込み各部屋へと配分する分電盤だと見られている。パナソニックは国内の住宅用分電盤市場でシェア5割強を保有しているため、HEMS市場でも主導権を握れるという見込みがあるためである(図3)。
これらの点で勝算があるためパナソニックはHEMS市場の早期育成に力を入れている。とはいえ、現実的にはHEMSの利点は一般家庭では利点を感じる場面は少なく、当面はHEMS活用のプロモーションに積極的に取り組んでいく方針だ。
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