東芝の太陽光発電システムの出力は30kW。駅の屋上などに設置する。得られた電力をまず、東芝の自立型水素エネルギー供給システム「H2One」に導く(図4)。
ある瞬間を捉えると、太陽光発電システムから得られる電力と駅に供給が必要な電力は量が異なる。災害時のために電力を蓄えておく必要もある。そこでH2Oneでは大きく6つの内蔵装置を組み合わせた。電力をそのまま蓄える「蓄電池ユニット」と電力を用いて水から水素を得る「水電解水素製造ユニット」、水素を蓄える「水素貯蔵タンク」、水素から電力を得る「燃料電池ユニット」、全体を制御するH2EMSだ(図5)。
蓄電池ユニットには東芝のリチウムイオン蓄電池「SCiB」を用いる。出力は25キロワット(kW)、容量は44キロワット時(kWh)。水電解水素製造ユニットの能力は1時間当たり1ノルマルリューベ(Nm3)*3)。水素貯蔵タンクの容量は270Nm3。燃料電池ユニットの出力は3.5kWだ。
「H2Oneが内蔵する燃料電池ユニットは純水素から電力と温水を得る。装置としては異なるものの、東芝燃料電池システムが2016年3月に発表した出力700W、発電効率55%、総合効率95%の水素燃料電池システムと共通の技術を利用している」(東芝)。
「現在、エコステ全体を設計しているところであり、温水の用途を検討中だ。鉄道や関連設備の利用者向けと、業務用途の2つを考慮している。具体的には清掃や暖房、飲食店での利用などが候補に挙がっている」(川崎市)。
*3) 水素は温度や圧力によって体積が変化するため、1気圧0度の水素1m3を1Nm3と表す。
【更新履歴】 記事公開後、注1、注2、図2の位置を変更し、図3を追加しました(2016年3月28日)。
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