「変なホテル」が電力を自給自足、水素と再生可能エネルギーで自然エネルギー(1/2 ページ)

ハウステンボスがロボットや省エネシステムなどの先進技術を導入している「変なホテル」の第2期棟が完成し、グランドオープンを迎えた。第2期棟は国産材と日本初の工法を用いた木造棟で、東芝の自立型エネルギー供給システム「H2One」も導入。太陽光発電と水素を活用し、一部の客室のエネルギーは自給自足を実現する。

» 2016年03月17日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 ハウステンボス(長崎県佐世保市)が2015年から開発を進めている「変なホテル」。「快適性と世界最高水準の生産性の両立」を目的に、受付や宿泊者へのサービス対応にロボットを活用して省人化を図り、さらに新しい建設工法や省エネシステムも積極的に導入するなど、ユニークなスマートホテルプロジェクトとして注目を集めている。

 変なホテルは第1期棟(イーストアーム)と第2期棟(ウェストアーム)で構成する。第1期棟は2015年7月に開業しているが、続いて2016年3月14日に第2期棟が完成してグランドオープンを迎えた(図1)。2つの棟はそれぞれ2階建てで、72の客室を持つ。しかし建築コンセプトは異なっており、今回完成した第2期棟は国産材と再生可能エネルギーの活用が大きな特徴となっている。

図1 完成した「変なホテル」。写真の手前左側にある白い建物が第1期棟で、右側にある茶色の建物が第2期棟だ 出典:ハウステンボス

 第1期棟は鉄の柱で組む鉄骨造だが、第2期棟は一部を除いて木造だ。そして構造材料にCLT(Cross Laminated Timber)という、ひき板(木の板)を並べた層を組み合わせた木材パネルを利用しているのが大きな特徴だ(図2)。

CLTパネル。ひき板を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着している 出典:日本CLT協会

 CLTはオーストリアを中心に利用が進んできた材料で、高い遮音・耐火性を持つ。約10センチメートル厚のCLTパネルは、1.2メートル厚のコンクリートと同等の断熱性能を持つとされており、省エネ性能も高い。同じ大きさのPC(プレキャストコンクリート)パネルを使う場合より建物を軽量にでき、耐震性を高められるメリットもある。

 ハウステンボスによれば宿泊施設にCLT工法を利用するのは国内初の事例になる。CLTパネルに利用した木材は全て九州産で、そのうち20%は地元長崎県産のスギ材を活用した。なお、これらの第2期棟の設計・施工は鹿島建設と一部の技術支援を住友林業が担当している。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.