冬の電力需要が予測を大幅に下回る、北海道も関西も予備率10%以上電力供給サービス(1/2 ページ)

政府が全国各地の今冬の需給状況をまとめた結果、需要に対する供給力の余裕を表す予備率は最低でも5%前後を確保できていた。需要の減少が著しい北海道では12月〜3月の4カ月間を通じて10%以上を維持する一方、予備率が3.3%まで下がる想定だった関西でも10%を下回ることはなかった。

» 2016年04月13日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 電力会社10社が政府に報告した2015年度の冬(12月〜3月)の需給実績を見ると、余裕のある数字が並んでいる。需要が最大になった日でも、予備率(需要に対する供給力の余裕)が最も低かったのは中部の7.1%だった。北陸も7%台、東京は8%台で、そのほかの7地域は軒並み10%以上だった(図1)。北海道・九州・沖縄では20%を超えている。

図1 2015年度の冬の需給実績(画像をクリックすると当初の見通しも表示)。出典:資源エネルギー庁

 政府の委員会が10月に公表した予測と比べると、10地域の最大需要電力は合計で767万kW(キロワット)も少なくて済んだ。大型の原子力発電所に換算して8基分に相当する。東京が390万kW、関西が288万kWも予測より少なく、両地域の需要減少が際立っている。中国だけは最大需要が予測から20万kW多かったが、供給力を積み増したことで予備率は10%を上回った。

 実際に予備率が最小になった日の状況を見ると、東京電力が1月18日に4.8%を記録したのが最低だ(図2)。ただし少なめの需要を想定して供給力を抑えたためで、電力が不足するような状況ではなかった。同様に予備率が5〜6%台まで低下した中部・北陸・中国・九州の4地域でも供給力を抑制した結果である。

図2 予備率が最低になった日の状況(画像をクリックすると注釈も表示)。出典:資源エネルギー庁

 北海道では東日本大震災が発生した翌年から冬に電力不足の懸念が生じていた。しかし2014年度に続いて2015年度の冬も、予備率が10%を切る日は1日もなかった。予備率が最低になった2月25日は平均気温がマイナス6.4度まで下がったものの、ピークの供給力を大幅に減らしたにもかかわらず11.2%の予備率を確保できている。

 北海道電力が平日の気温と降雪量を考慮して最大需要の減少量を分析したところ、震災前の2010年度と比べて68万kWも減少していた(図3)。減少率は13%にのぼる。さらに前年の2014年度と比較しても28万kW減っている。特にオフィスなどで利用する業務用の需要が1年で20万kWも減少した影響が大きい。節電効果の拡大に加えて、新電力へ移行する動きが広がっているためだ。

図3 北海道の1日の平均気温と最大需要電力(12月〜2月、画像をクリックすると需要減少の内訳も表示)。出典:北海道電力
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