熊本県を中心に4月16日(土)の未明から続いている大地震の影響を受けて、18日(月)の午前11時現在で熊本県内の3万4500戸で停電が発生している。他の地域の電力会社は高圧発電機車や高所作業車を熊本県に輸送して応援を実施中だ。その一方で原子力発電に対する国民の不安が高まる。
続報1(4月20日):「熊本県内の停電が現在も2000戸以上で続く」
続報2(4月21日):「熊本県内の停電が解消、高圧発電機車で送電中」
続報3(4月22日):「送電線の復旧工事が阿蘇地区で進む、24日中に完了へ」
続報4(4月25日):「送電線の復旧工事完了は27日に延びる、降雨の影響」
九州電力が18日(月)の午前11時に発表した最新情報によると、熊本県内の3万4500戸で停電が発生している。特に阿蘇市・高森町・南阿蘇村の一帯では、電力を供給する高圧送電線の鉄塔が周辺の土砂崩れのために使用できない状態にある。全国各地の電力会社は非常用の高圧発電機車を熊本県に輸送して、停電が発生している地域で電力の供給を開始した。
九州電力の発表によると、9つの電力会社から合計85台の高圧発電機車と63台の高所作業車が熊本県内に配置される予定だ(図1)。すでに中部・関西・中国・四国から到着したほか、18日の夜までに北海道と沖縄を除く7地域から79台の高圧発電機車が到着する見込みである。
79台の発電能力を合計すると3万300kVA(キロボルトアンペア=キロワットに相当)になる。標準的な300kVAの高圧発電機車1台で200世帯分の電力を供給することができるため、18日中に約2万世帯分の電力を供給することが可能になる。配置先は地震の被害が大きい熊本市と益城町を含む「熊本東エリア」と阿蘇市をはじめとする「大津エリア」を予定している(図2)。
電力各社は送配電設備の保守に伴う停電や事故による停電に備えて、移動式の高圧発電機車を管内に配備している。東日本大震災の時にも地域を越えて高圧発電機車を輸送して電力を供給した。とりわけ電力の必要性が大きい医療機関や避難所を最優先に高圧発電機車を設置する。
九州電力は2007年9月に実施した熊本県の総合防災訓練で、陸上自衛隊と協力して高圧発電機車を大型ヘリコプターで輸送する訓練にも取り組んでいる(図3)。今回の設置場所や輸送方法の詳細は不明だが、道路が寸断されて陸上輸送が困難な場所にも高圧発電機車を設置することは可能だ。被災した地域の住民が必要とする電力を一刻も早く供給できることが望まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.