米国政府のエネルギー情報局が世界の将来動向を予測した。電力の消費量は発展途上国を中心に年率1.9%のペースで増えていく。ただし省エネルギーが進んでGDPの成長率よりは低くなる。電源別では再生可能エネルギーの伸びが最も大きく、天然ガスの火力と原子力も2%台の成長を続ける。
米国エネルギー情報局(EIA)は世界各国のエネルギー関連情報を収集・分析する役割を担う機関で、将来予測をまとめた「International Energy Outlook」を毎年発表している。5月12日に公表した2016年版の報告書の中で、2040年までのエネルギー全般の動向に加えて電力の消費量と発電量に関する予測をまとめた。
EIAの予測によると、全世界の電力消費量は2005年から2012年まで年率3.2%のペースで伸びてきたが、2012年から2040年に向けては年平均1.9%に鈍化する(図1)。電力の需要は各国のGDP(国内総生産)の影響を大きく受けることから、GDPの成長率をもとに算出した。
2005年から2012年の全世界のGDP成長率は3.7%で、2012年から2040年も発展途上国を中心に3.3%の成長を続けると想定している。これに対して先進国を中心に省エネルギーの技術開発や政策が進んで電力の消費効率が高まり、経済成長に伴う電力需要の伸びを抑えて消費量はさほど増えない。
それでも全世界の電力消費量は2012年の21兆5600億kWh(キロワット時)から2040年には36兆4500億kWhに拡大する。この間の増加率は69%である。先進国を中心とするOECD(経済協力開発機構)の加盟国と非加盟国に分けると、2011年の時点で非加盟国の電力消費量が初めて加盟国を上回った。さらに2040年の時点では非加盟国による比率が全体の6割を超える見通しだ(図2)。
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